キアヌ・リーブスには無精ひげが似合い、ワイルドなアクション俳優というイメージがある。50歳を越えた最近は路上飲食の様子が隠し撮りされたりして、庶民性も印象付けている。

 今作では一転、七三分けにツルンとしたさっぱり顔で法廷劇に臨んでいる。バイクにまたがって法廷に通うところに従来のキアヌらしさがあるから、スーツの似合う入廷後の姿に変身ぶりを実感できる。

 キアヌ演じる弁護士の資産家の友人が殺害され、17歳の息子が容疑者となる。有罪を裏付ける証言が相次ぎ、少年は黙秘を続ける。不利な状況にも、弁護士はらつ腕を振るい証言のほころびを突く。裁判の行方が混迷する中で、少年が予想外の告白を始めて…。

 テレビの2時間ドラマに収まりそうな題材に、コートニー・ハント監督は映画らしい厚みを加えている。自然光の照明は法廷の人々の心象を陰影で映し出す。CMを挟んだ予定調和のタイミングではなく、急転、急変で意表を突く。

 資産家夫人役のレニー・ゼルウィガーも「謎」をにおわせ、変身キアヌと相まってけむに巻く。回想シーンにウソを交えない正攻法でしっかりだまされる。【相原斎】

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