日本で03年に公開され、興収110億円の大ヒットを記録したディズニーの人気作の続編。夏映画の大本命だ。無事に親元に戻ったクマノミの子ニモを見たナンヨウハギのドリーが、自分の親が恋しくなり、かすかな記憶をたどる旅に出る。

 ドリーが重度の健忘症というところがポイント。ヒントを思い出したかと思えば、次の瞬間には忘れている。これが絶妙なアクセントになり、相棒のタコ・ハンクとの旅は珍道中になる。地上はもちろん、排水溝や道路まで。大海原とは違うスケールの大冒険に、子供たちは大喜びだろう。

 子供と大人で刺さるポイントは違うかもしれない。すぐ迷子になってしまう子にも、両親は無償の愛を注いだ。その証しをドリーが見つけた瞬間、子を持つ親なら胸が締め付けられるはずだ。八代亜紀のエンディング曲も哀愁をそそり、余韻に浸りたい心に響く。見終わった後、親子で感想を語り合ったら、新たな発見があるかもしれない。

 最後に1つ。幼少期のドリーの声を演じた青山ららの声が、たまらなくキュート。吹き替えでの鑑賞をオススメします。【森本隆】

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