5月のフランス・カンヌ映画祭ある視点部門で、黒沢清監督(60)が日本人初の同部門監督賞を受賞した映画「岸辺の旅」(10月1日公開)の日本凱旋(がいせん)披露試写会が10日、都内のスペースFS汐留で行われた。

 この日は監督賞の賞状が、国内で初お披露目された。

 夫婦役で主演した深津絵里(42)浅野忠信(41)は、今年5月に行われたカンヌ映画祭の公式上映に参加したが、授賞式には参加しなかったため、賞状を見るのはこの日が初めてだった。浅野が「やっぱり、すごいですね。なかなか見られない」と感激すると、深津も「いやぁ、いやぁ、格好いいですね。監督の名前が(賞状に)ドンと書かれていて、ジーンとしますね」と感慨深げ。目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

 深津は、公式上映時の面白エピソードを聞かれ、「レッドカーペットが混んでいて、私と浅野さんは歩くのも待たされて、車の中にいました。時差ぼけで一番眠い時間で、2人で15分くらい車の中で寝て、自分の中で意外なことでした」と言い、苦笑した。

 これを聞いた黒沢監督は「あっ、そうですか? 寝てたんですか? すごいですね…僕は緊張して待っていた」と驚いていた。