【ロンドン2日(日本時間3日)=横山慧】メタルダンスユニット、BABYMETAL(ベビーメタル)が、当地のウェンブリーアリーナで、日本人初となる単独ライブを成功させた。「カワイイ×メタル」の融合がうけ、国内外で人気と知名度を伸ばし続けている3人組は、自信みなぎるパフォーマンスで、堂々と歴史に名を刻んだ。

 会場が暗転すると、待ちわびた1万2000人の観客が一瞬叫び、すぐに静まった。現地時間午後8時49分。ステージにスポットライトが当たり3人の少女の姿が現れると、「ウォオオオオ!」と再び大歓声があがった。日本の音楽史に、新たな1ページが刻まれた瞬間だった。

 ウェンブリーアリーナは、過去にビートルズ、ローリング・ストーンズ、U2、マドンナら一流アーティストが公演を行う、世界的にも有名なライブ会場だ。1万2000人の収容を日本人だけで埋めるのは難しく、現地での確かな人気があって初めて開催が可能になる。この日の観客の9割以上が外国人だった。

 BABYMETALは、14年7月にロンドンで開催されたメタルフェス「ソニスフィア」に出演して以来、同地でファンを獲得、ライブを重ねてきた。英国の宣伝プロモーター、ザ・ノイズ・カルテル代表、アダム・セギール氏は「メタルバンドの前で、女の子3人が踊るなんて見たことないし、強力なサビもある。SU-METALは最良のメタルボーカリストの1人。そういう要素が合わさっている」と魅力を分析した。

 ライブでは「ギミチョコ」「KARATE」など17曲を披露。アリーナの観客が体を激しくぶつけ合う、恒例の「モッシュ」も見られた。力強い美声で魅了するSU-METAL(18)を、MOAMETAL(16)YUIMETAL(16)の2人がかわいらしいダンスで彩る、結成以来磨き続けてきたスタイルは、国境を越えて浸透している。

 この日を皮切りに、3度目のワールドツアーがスタート。米、独、仏など8カ国を巡り、9月19日の東京ドーム公演で締めくくる。SU-METALは「私たちの音楽は、国境や言語の壁を越えられるという自信がつきました」。MOAMETALは「この3人なら、世界を1つにできると思う。これからは、運だけじゃないというところも見せていきたい」と語った。少女たちの快進撃は、まだ始まったばかりだ。

 ◆BABYMETAL SU-METALこと中元すず香(なかもと・すずか)YUIMETALこと水野由結(みずの・ゆい)MOAMETALこと菊地最愛(きくち・もあ)の3人。10年、アイドルグループさくら学院の「重音部」として結成。14年にはレディー・ガガの北米ツアーに前座として帯同。今月1日に最新アルバム「METAL RESISTANCE」を世界同時発売。

<BABYMETAL アラカルト>

 ▼14年7月 ソニスフィアのメーンステージに出演。音楽誌「Metal Hammer」主催のネット投票企画「ヘビーメタルワールドカップ」で優勝。

 ▼同11月 ロンドンのO2ブリクストンアカデミーで、5000人動員の単独ライブを開催。

 ▼15年6月 音楽誌「ケラング!」主催の「ケラング! アワーズ 2015」や「Metal Hammer」主催の授賞式に相次いで出演。

 ▼同7月 「Metal Hammer」の表紙を飾る。

 ▼同8月 野外音楽フェス「レディング&リーズ・フェスティバル 2015年」に出演。史上最年少のメーン野外ステージ出演者となる。