佐藤仁美(36)の主演映画「惑う~After the Rain~」が来春、東京・有楽町スバル座などで全国公開されることが28日、決まった。

 静岡県三島市の市制75周年記念事業の一環として、同市の未来を担う人たちが市の魅力、市を今後どうしていきたいか、市を愛する自分たちはどうありたいかを考え、その思いを映画にする企画「みしまびとプロジェクト」として製作。脚本段階から三島市の特徴や個人の思い出を市民から聞いて作られた作品で、ご当地の静岡県では今秋、先行公開される。佐藤にとって、主演映画は04年「稲妻ルーシー」以来、12年ぶり。

 佐藤は劇中で、結婚式を翌日に控えるいずみを演じる。妹かえで役を中西美帆、母イト役を宮崎美子が演じる。ほかに小市慢太郎、斎藤洋介、村田雄浩、藤田弓子、小林且弥が出演。監督は、北野武監督や黒沢清監督の助監督を経て「ふるさとがえり」(11年)「空飛ぶ金魚と世界のひみつ」(13年)など手がけた林弘樹監督が務めた。ほか、世界的に活躍する衣装デザイナー黒沢和子氏、撮影監督として著名な高間賢治氏ら日本映画界屈指のスタッフが集まり、撮影は既に終了している。

 物語は1980年(昭55)の冬、明治末に作られた楽寿亭の離れ屋敷に開かれた石川塾から始まる。石川塾の長女で銀行員のいずみ(佐藤)は、結婚式を翌日に控えた夜、母イト(宮崎)と食卓を囲んでいた。石川塾二代目を務めた父誠志郎の急死、妹かえで(中西)の妊娠など、一家にはさまざまな出来事があり、その中、いずみは亡き父の代わりに母と妹を支え、家をなかなか出ることができなかった。

 ようやく翌日、結婚の日を迎えるいずみは、イトから、父がこの家から娘を嫁がせることが夢だったと初めて聞かされた。結婚式は、町の再開発のために取り壊しが決まった楽寿亭で無事、行われ、いずみは美しい白無垢(むく)の花嫁となった。世代を超えた愛をつなげ、未来を作っていく家族の中心に立ったいずみの、飾らずとも美しい日本女性の生き様を描く。