「千と千尋の神隠し」(01年)など、数多くの名作アニメを生み出してきたスタジオジブリが初めて外国人監督を起用した映画「レッドタートル ある島の物語」(17日公開)の完成報告会見が1日、都内で行われた。

 メガホンを取ったオランダ出身のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督(63)は、これまで短編映画でカンヌ映画祭、米アカデミー賞で高い評価を受けてきたが、長編映画は今回が初めて。「突然ジブリから映画企画の手紙をもらった。人生最大の衝撃だった。すぐにやりたい! そのときは有頂天になった。作品では自然への敬意とシンプルなラブストーリーを描きたかった」と振り返る。

 映画は遭難して無人島にたどり着いた男とウミガメを巡る不思議な物語。

 鈴木敏夫プロデューサー(68)も構想10年を振り返り「彼の『岸辺のふたり』(00年、米アカデミー短編映画賞受賞)は、8分間に、女性の一生を詰め込んだ素晴らしい作品。今までに100回は見た。あの作品でマイケルの長編が見たくなった。今回は対照的に男の一生が描かれている」という。

 「レッドタートル」を見たジブリの宮崎駿監督(75)も感銘を受けたそうで「長編作品は引退したはずなのに『あのスタッフ(フランス、ハンガリーのアニメーター)を使えば、まだ僕にも出来る』なんて言い出して困っている」と鈴木プロデューサーは苦笑いする。63歳の新人、ヴィット監督が吹き込んだ新しい風は巨匠のやる気にも火を付けてしまったようだ。