お笑い芸人の佐久間一行(39)が、4月5日に絵本「ふでばこ君」(幻冬舎)を出版する。

 2011年に、ピン芸人ナンバーワンを決めるR-1ぐらんぷりで優勝し、テレビに引っ張りだこの時期もあったが、今は作り込んだネタを全国の舞台で披露することに軸を置く。16年にデビュー20周年を迎え舞台、絵本制作と、自らの表現の世界を突き詰める佐久間に今、思うことを聞いた。

 佐久間は16年に、芸歴20周年記念公演を北海道から沖縄まで全国で展開した。現在は1カ月のほぼ半分の15日程度、舞台に立ち、多い時は1日に3公演行う。並行して全国各地のイベントを回り、月2回、イラストとコラムを書く連載も持っている。「すごく充実していますね。絵の仕事もありますし、1カ月、いろいろな仕事が、すごくバランス良く出来ています」と笑みを浮かべる。

 R-1ぐらんぷり2011を制し、テレビへの出演が増えた時期もあったが、舞台や全国を営業で回る方が「エネルギーも強いですし好きなのかな」という。全国ツアー公演を行い月に半分、舞台に立つピン芸人は、なかなかいないと関係者は語る。全国各地でもチケットは相次いで完売しているという。一方で“テレビに出ていない人”という見え方になる側面があるのも否めない。そこに佐久間は1つの考え方を呈する。

 「一般の方は、歌舞伎俳優の人がテレビに出ていたら『普段は歌舞伎をやっているんだな』と思うじゃないですか? でも、芸人が普段(本業として)劇場の舞台に立っているのを知らない。だから劇場に出ている人が今日、テレビに出ているんだ、という印象ではないというか…結果(テレビに出ない人と)見えるのが、ややこしいですよね」

 お笑い芸人が、本業のネタを披露する以上にキャスターやMCなど多方面に活躍の場を広げるケースも増えた。その流れと、対極にある自身を分析した。

 「板(舞台)の上でのお笑いを実際に見に来ていただくと面白さが全然、違うと思います。その本業があってテレビに出るんですが、そこには女優さんやアイドルの方、アナウンサーの方が集まったテレビのショーがある。お笑い芸人といえば、何でも出来なきゃいけない職業な気がして、バラエティーに平均的に出来る人がメディアに出ているというイメージです。企画に、どれだけ合わせて出来るかということで、コラボがスムーズに、いければいいんですけど…自分は我が強いので、そこに乗れないのかも知れませんね」