ピース又吉直樹(36)が11日、東京・博品館劇場で、同日発売の新作小説「劇場」(新潮社)の「劇場お渡し会」を開いた。

 又吉は会場入りする前に都内の書店を回ってきた。「自分の本が発売される日は、妙な緊張感とうれしさがある。(店頭に)看板を立ててくださったり、大きく扱ってくれてありがたい。書店員さんが『面白かった』と感想を言ってくれて、うれしかった」と語った。

 「劇場」は、15年1月に発表し、同年に芥川賞を受賞した初の長編小説「火花」に続く長編2作目で、演劇の世界を舞台に描いた男女の恋愛小説。3月7日発売の文芸誌「新潮」4月号に掲載された。同誌は発売2週間前に「劇場」の掲載を発表したところ、反響が大きく、平成以降では最多の4万部を発行したことも話題となった。

 又吉は「火花」より早い14年夏に「劇場」の冒頭部分を書き始めたが、じっくり書きたいという理由で1度、筆を置き、自身も身を置くお笑いの世界を舞台にした「火花」の執筆に取り掛かったという。自身が知らない演劇の世界を個人的に取材する時間も必要だったという。

 又吉は「若い男女を書こうと思った。50~60枚書いた時、『火花』の構想も出来ていた。『劇場』はいろいろな方向から考えた方がいいと思い、編集の方に待っていただいていいですか、とお願いした。テーマに合った製作期間があると思った」と説明。一方、「火花」は「集中して書いた方がいいと思った」と語った。【村上幸将】