歌手森進一に対して作詞家川内康範氏が「おふくろさん」を歌わないようにした、いわゆる「おふくろさん」騒動は、曲にバース(曲頭のセリフ)のあることを了承していない川内氏が「もう歌わせない」としたもの。
森は05年と06年のNHK紅白歌合戦で「おふくろさん」を歌った。曲の冒頭で「いつも心配かけてばかり
いけない息子の僕でした
今ではできないことだけど
しかってほしいよ
もう1度」と情緒たっぷりに語りかけた。川内氏は、このセリフを付け加えたことを「了解していない」と主張。
森にすればバースは30年以上も前に出来上がっていたことから「なぜ、今になって…」という思いがあった。川内氏によると“改作”を知ったのは約10年前だが、紅白の歌唱をきっかけに「了解がない」と抗議した。
◆おふくろさん騒動の経緯◆
▼07年2月20日
05年と06年の紅白で、森進一が曲の冒頭にセリフを入れて歌い、川内康範氏が「了解していない」と激怒していることが明らかになる。
▼同21日
森が会見し「お会いして自分の気持ちを伝えたい」と謝意を表明。川内氏のスタッフには電話でスケジュール調整依頼。
▼同23日
森が、川内氏滞在のホテルへ出向くも、門前払いで会えず。
▼同27日
森は青森の川内氏の自宅へ足を運ぶが、不在。すでに川内氏は東京へ向かっていた。八戸市内のビジネスホテルに宿泊。
▼同28日
川内氏の上京を知らない森が再度、自宅を訪ねる。玄関に手土産(ようかん)と手紙を置き、帰京した。
▼3月1日
川内氏は森が自宅に届けたようかんを送り返し、スタッフを通じ「(森と)今後も会うつもりはない」と、生涯絶縁を宣告した。
▼同11日
森が福岡・嘉穂劇場で「おふくろさん騒動」後、初めてのコンサートを行い、川内作品を「しばらく封印します」と宣言。ファンからの「頑張って!」との温かい声援を受け、何度も涙を流した。