スーパースター2人の友情は不変だった。石原裕次郎さん(享年52)の二十三回忌にあたる17日夜、東京・ホテルニューオータニで法要パーティー「感謝の夕べ」が行われ、親友の長嶋茂雄氏(73)が出席した。裕次郎さんと親交が深かった招待客を前にステージに立った長嶋氏は、裕次郎さんの名曲「わが人生に悔いなし」を渡哲也(67)らと合唱。没後22年たつ親友に「ありがとう」とメッセージを送った。感動的なフィナーレに招待客も感動の拍手を送った。

 圧巻の光景に約330人の招待客はただ見とれていた。法要パーティーのフィナーレは、裕次郎さんの最後のシングル曲「わが人生に悔いなし」の合唱だった。作曲者でもある歌手加藤登紀子(65)のリードで始まった合唱の輪に、2番から長嶋氏が加わった。司会の徳光和夫(68)から「どうぞステージに」と促され、拍手を浴びながら、ゆっくりとステージに上がった。ステージで待つ裕次郎夫人のまき子さん、渡、舘ひろし(59)らに手を上げて応えると、マイクを握った。舘のリードに合わせ、歌詞を紹介するモニターを見ることもなく口ずさんだ。裕次郎さんへの気持ちが誰もがうかがえるほど、表情は生き生きしていた。

 合唱を終えると、裕次郎さんへのコメントを求められた。かたずをのんで見守る空気が広がる中「う~ん(思い出が)たくさんあり過ぎます」。さらにマイクを近づけて叫んだ。「だから、ありがとう!」。滑舌は決して良くなかったが、そんなことを軽く吹き飛ばし、固いきずなを感じさせるほど、声に力強さがあった。

 長嶋氏は裕次郎さんの大親友。立大時代に知り合い友情をはぐくんだ。初対面から「シゲ」と呼ぶ裕次郎さんを兄貴分として慕い、米国旅行にも同行。自宅にもたびたび招かれ食事をともにした。芸能界とプロ野球界のスーパースターは、互いに励まし合い、きずなを深め合った。長嶋氏は裕次郎さんの没後も法要のたびに自宅に足を運んだ。

 この日の合唱の提案も、多くの取材陣がいることを承知の上で「裕次郎さんが喜ぶなら」と迷わず引き受けたという。関係者には「メロディーをはっきりと記憶していませんが」と事前に断っていたが、そばにいた加藤が「歌うのを止めて聴き入ってしまいました」というほど気持ちのこもった歌声だった。長嶋氏を現役時代から「シゲちゃん」と呼ぶまき子さんも「本当に感動しました」と目を潤ませた。長嶋氏の友情に、祭壇に飾られた裕次郎さんの遺影もほほ笑んでいた。

 [2009年7月18日9時14分

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