覚せい剤所持の疑いで逮捕され、使用の疑いでも追送検された酒井法子容疑者(38)が、出頭までの6日間について「覚せい剤を抜くために逃走した」と供述したことが25日、分かった。当初は、夫で自称プロサーファー高相祐一容疑者(41)の逮捕に気が動転したため、などとしていたが、計算ずくめの逃走だった。使用動機についても「疲れが取れるため」などと供述しており、使用動機や逃走などが明らかになってきた。

 逮捕当初から、3日未明から8日夜までの6日間の足取りや行動が用意周到であることが指摘されていたが、ついに酒井容疑者本人も認め始めた。

 酒井容疑者は6日間の行動について「覚せい剤を抜くための逃走だった」と供述した。覚せい剤を体内から抜くには3~5日間が必要とされており、出頭後に行われた尿検査では陰性だった。逃走期間からして計算ずくのように見え、直前に覚せい剤を使用した可能性もある。また、うつむいて移送される姿は、髪を短く切っているようにも見えた。自分ものではなく長男の携帯電話を持っていたことも不自然だった。

 2日夜、高相容疑者が東京・渋谷の路上で職務質問をされた時からすでに、酒井容疑者は、計画を考えていたのかもしれない。日付が変わった数時間後、夫が逮捕され、酒井容疑者も尿検査を求められたが「絶対に嫌です」と拒否。渋谷署への同行を促され「後で行きます。子供を預けているので」と言いつつ、現場に呼び出した建設会社会長の車に乗って姿を消した。同会長は、渋谷109の前で降ろしたとしている。

 その後何カ所かで姿を見られているが、いずれも、長期間身を隠すための準備のように見える。自宅から慌ただしく荷物を運び出す姿、量販店で大量の衣類や食料品を買う姿、などだ。逮捕当初は「夫の逮捕に気が動転した」などと供述していたが、動転していたにしては、冷静沈着な行動だった。

 酒井容疑者はその後、同会長に運転手付きの車を借り、会長の兄弟が所有する別荘やマンションを転々とした。継母、担当弁護士も一緒で、山梨県身延町の親族宅に1泊、東京・東大和市のマンションに2泊、神奈川・箱根の別荘に2泊し、8日夜に東京の警視庁富坂庁舎に出頭した。

 周囲の対応への疑問も残る。酒井容疑者に呼び出された会長は、酒井容疑者が「死にたい」などと話したため、最悪の事態を避けるために保護したと話しているが、なぜ、自分の目の届かない都心から離れた場所へ向かわせたのだろうか。

 また、覚せい剤の使用動機についても、供述を始めている。「仕事の疲れを取るため。気分が高揚して忘れられるからやった」と話しているという。使用時期についても「昨年の夏」から「夏より前」と変わってきており、高相容疑者の「妻は4年前から吸っていた」という供述もあることから、警視庁では常習性があるとみている。

 酒井容疑者は前日、7月上旬に自宅マンションでの覚せい剤使用容疑で追送検されたが、今後、千葉・勝浦の別荘での所持、使用についても捜査される。

 [2009年8月26日8時33分

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