昨年11月に歌舞伎俳優市川海老蔵(33)を殴り、全治2カ月の重傷を負わせて傷害罪で起訴された、元暴走族メンバーの伊藤リオン被告(27)の公判が3日、東京地裁で行われ、検察側が懲役2年を求刑した。判決は14日に東京地裁で言い渡される。

 検察側の論告要旨は以下の通り。

 ◆過剰防衛ではない

 伊藤被告の暴行は、弁護側が主張する過剰防衛とは認められない。(1)海老蔵の頭突きは1回(2)海老蔵が手に持った灰皿で攻撃を加えようとした事実はなく(3)海老蔵の暴行は、伊藤被告の暴行開始時点で終了し、被告の暴行は報復に過ぎない。

 ◆積極的暴行

 海老蔵は泥酔しており、しらふだった伊藤被告と友人2人が、元暴走族リーダーから海老蔵を引き離すなどすれば良かっただけで、伊藤被告は積極的加害意思を持って、激しい暴行に及んだ。

 ◆示談書の意味

 犯行の卑劣さにかんがみると、海老蔵が被告人らを恐れることは当然。示談の成立や内容を文字通り受け取るのは妥当でない。

 ◆顕著な粗暴癖

 海老蔵にも芳しくない行為があったことは確かであるが、これだけの重傷を負わされることは正当化されるはずもなく、また伊藤被告の粗暴癖は顕著で再犯の恐れは極めて高い。