お笑い芸人、松本人志(47)3作目の監督映画「さや侍」(6月11日公開)が、世界4大映画祭の1つ、スイス・ロカルノ国際映画祭(8月3~13日)で「特別上映」されることが30日、分かった。同映画祭では、同監督の過去作品を特集する「松本シネマ」と題した、監督3作目にしては極めて異例の上映企画が行われることも決定。「さや侍」は世界最大の映画用スクリーンがある約8000人収容可能な巨大野外広場で上映され、人気次第では観客賞に選出される可能性もあるという。

 時代劇「さや侍」は、ロカルノ国際映画祭の象徴ともいわれる、約8000人収容可能な巨大野外広場「ピアッツァ・グランデ」にある世界最大のスクリーン(縦約14メートル×横約26メートル)で上映される。約300本上映される同映画祭の作品の中で、同広場で流されるのは1日1~2本程度のため「特別上映」扱いといえる。「さや侍」は同映画祭メーンのコンペティション部門には参加していないが、期間中の上映全作品が対象で、ファン投票数で決まる「観客賞」に選出される可能性はあるという。

 また、同映画祭では「松本特集」の開催も決定。松本の過去2作品(07年公開「大日本人」と09年公開「しんぼる」)を映画祭会場内で特集的に上映する「Matsumoto

 Cinema(松本シネマ)」という特別企画が行われる。海外映画祭で、監督3作目にしてこの種の「リスペクト特集企画」が組まれることは極めて異例という。

 松本所属の吉本興業によると、ロカルノ国際映画祭側から今年2月、「さや侍」上映依頼のオファーがあり、その後正式決定した。「大日本人」が07年のカンヌ映画祭「監督週間」部門に選出された際、作品選考責任者を務めていたオリビエ・ピエール氏がロカルノ国際映画祭のディレクターを務めており、同氏が松本作品を高く評価したことなどが背景にあった。

 英語タイトルは「Scabbard(さや)

 Samurai」で、海外上映はロカルノが初。松本作品は海外でも関心が高く「大日本人」は約30、「しんぼる」は約50の海外映画祭から招待され、受賞歴もある。「さや侍」もすでに複数の海外映画祭からオファーがあり、今後出品される可能性が高いという。

 松本は「私にとって映画製作とは、頭の中で実った何かを、収穫の時期に、1滴残らず絞り取るような作業だと思っています。そんな入魂の作品を、ロカルノ映画祭を通じて、海の向こうにいる多くの方々に楽しんでもらえるとうれしいです」とコメントした。

 ◆「さや侍」

 刀を捨て「さや」しか持たない侍と娘の闘いや葛藤を、笑いや悲哀とともに描いた時代劇。松本人志監督・脚本。主演の侍役には、松本が司会を務めたフジテレビ系深夜番組「働くおっさん劇場」(06~07年)に出演し、個性的キャラが話題となった飲食店勤務の“素人”野見隆明さん(53)が抜てきされた。6月11日全国ロードショー。

 ◆ロカルノ国際映画祭

 スイス南部ティチーノ州ロカルノで毎年8月開催される。1946年に開始。カンヌ、ベネチア、ベルリンとともに世界4大映画祭といわれる。メーンのコンペティション部門グランプリは「金豹(ヒョウ)賞」。07年には「愛の予感」(小林政広監督)が金豹賞受賞。09年には日本のアニメ特集「Manga

 Impact」が開かれ、高畑勲監督と富野由悠季監督が名誉豹賞を受賞した。