石原裕次郎新人賞は「クローズ

 EXPLODE」「寄生獣」に出演した東出昌大(26)が選ばれた。

 「石原裕次郎さんの名前が付いた賞。役者として、人々の生活の中で彩りになる人間になりたいと思いました」。身長189センチ。人懐こい笑顔の東出は、裕次郎さんをほうふつとさせる。「恐れ多いですけど裕次郎さんや佐田啓二さんに雰囲気が似てると言われます。受賞はうれしいです」。

 初主演映画「クローズ

 EXPLODE」は流れ者の不良役。「寄生獣」は寄生生物に侵されたことを隠して生きる高校生役。「『クローズ』は役を演じてるつもりでも『まだ』と言われ、豊田利晃監督と禅問答のような2カ月でした。『寄生獣』は初めて感情がない役。芝居は感情だと思って積み上げてきましたが、表情とせりふがかみ合わない役は初めて。幅が広がりました」。

 「寄生獣」で見せた不気味な笑顔は、意外なものを参考にした。「ニュースで見た桂米朝さんのアンドロイドの笑顔。気持ち悪くて参考にしたり、ろう人形の画像も見た。あんなに表情を研究したのは初めて」。撮影はNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」の合間。「切り替えが難しかった」。売れっ子の宿命も乗り越えた。

 父の影響で少年時代から小説や映画に触れてきた。「映画は『好き』の一言。映画の現場にいられるのは幸せで離れたくない。地に足をつけ、やり続けたい」。裕次郎さんも映画の撮影現場をこよなく愛した。思いが重なった。【大友陽平】

 ◆東出昌大(ひがしで・まさひろ)1988年(昭63)2月1日、埼玉県生まれ。04年メンズノンノ「専属モデルオーディション」でグランプリ。12年映画「桐島、部活やめるってよ」で俳優デビュー。13年NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」、来年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」出演。189センチ、血液型A。

 ▼クローズ

 EXPLODE

 高橋ヒロシ氏のヤンキー漫画の映画化第3弾。滝谷源治(小栗旬)らが卒業後、鈴蘭高校は強羅徹(柳楽優弥)高木哲次(KENZO)らがトップの座を狙った。転入生の鏑木旋風男(東出昌大)や新1年生の加賀美遼平(早乙女太一)の出現で力関係が変わっていく。豊田利晃監督。

 ▼寄生獣

 高校生の泉新一(染谷将太)の右手にパラサイトが寄生した。人間の言語や文化を学んだ寄生生物はミギーと名乗り、新一に共同生活を持ち掛ける。同級生に怪しまれながら日常を過ごす。クラスには正体を隠している転校生の島田(東出昌大)もいた。山崎貴監督。

 ▼石原裕次郎新人賞・選考経過

 東出昌大が2年ぶりの受賞者に。「無理に出すと賞の価値を下げる」(渡辺武信氏)と慎重論もある中、福岡翼氏が「外見も裕次郎さんをほうふつとさせる。(裕次郎夫人の)まき子さんと並ぶところも見たい」。伊藤さとり氏も「『寄生獣』を見たら、気持ち悪い役もできる」と演技の幅を評価。投票でほかの候補者を圧倒した。

 ◆石原裕次郎賞

 戦後を代表する映画スター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、石原プロモーションの全面協力で日刊スポーツ映画大賞に併設。石原裕次郎新人賞は、裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな映画デビュー5年以内の新人に贈られる。賞金100万円。選出ハードルは高く過去27回で受賞者は13人だけ。