沖縄・石垣島(石垣市)の自宅に大麻を隠し持っていたとして大麻取締法違反(所持)の罪に問われた元女優高樹沙耶被告(53=本名益戸育江)に27日、那覇地裁(潮海二郎裁判長)は懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。判決後、近くで異例の“公園会見”を約4分間だけ開いた高樹被告は涙を浮かべ、逮捕をありがたく思っていると胸中を話した。

 判決後、那覇市中心部にある那覇地裁近くの「城岳公園」で会見を開いた高樹被告は「逮捕されたこと、ありがたく思っております。半年という長い勾留で、人生を振り返る時間を頂きましたこと、感謝しております。お騒がせしたことをおわびしたい」とふっきれた様子で話した。起訴状によると同居していた会社役員森山繁成被告(58=公判中)らと共謀。昨年10月、自宅で大麻約55グラムを所持した。今年1月まで拘置所生活を送っていた。

 公判では一貫して「大麻は森山被告が管理していたもの」とし、弁護側も無罪を主張してきた。しかし潮海裁判長は「高樹被告は大麻を多数回使用したと述べ、親和性も認められる。所持していた量は少なくなく、入手したのは森山被告だが、自宅への持ち込み・保管を許可したことなど、果たした役割は少なくない」とした。高樹被告は判決言い渡しの瞬間も動揺する様子もなく、閉廷時には深々と一礼し法廷を出た。

 昨夏の参院選に新党改革から出馬し「医療大麻」解禁などを訴えて落選した。小雨がぱらつく曇天の公園で「“大麻女優”とか言われ、困難な道のりを歩んできました。昨年は参院選に出馬しましたが、結論はみなさんご存じのとおりです。逮捕で全てを失うことになりました。理解していただきたいのは、決してふざけた気持ちで大麻草に向き合ってきたのではなく、医療で困った人のために使うことができたらという思いで活動してきました」と涙を浮かべ主張した。

 また「控訴はしません」と明言。今後については「第一線から退かせていただきます。信頼を取り戻すために毎日また精進したいと思います」と話し、表立った活動からは身を引く意向を示唆した。ただ、現在の医療用大麻への具体的な考え方について聞かれると「専門的な質問は後日受けます」とし、医療大麻解禁運動への関わりやその継続については明言しなかった。関係者は「近いうちに石垣島に戻ることになると思う」と話した。【上岡豊】