ロシアのプーチン大統領は27日、国ぐるみのドーピングを指摘されロシア選手のリオデジャネイロ五輪出場が制限されたことを巡り、欧米を念頭にロシアをおとしめるための政治キャンペーンが行われたとの認識を改めて示し「露骨な差別であり、許容しない」と批判した。

 ロシア選手約100人や関係者をモスクワのクレムリンに集めて開いた壮行会で演説した。ロシアのリオ五輪全面除外を見送った国際オリンピック委員会(IOC)の決定後、プーチン氏が公の場で五輪関連の話をするのは初めて。

 プーチン氏はロシア以外でもドーピング問題はあると指摘した上で、ロシア除外は「二重基準」と主張した。さらに、潔白な選手が連帯責任によって除外されたことで「法律上だけでなく、常識の枠も逸脱する状況に陥った」と強調し、ドーピング規制の改革が必要だとの考えを示した。

 陸上などでロシアの「強い選手」が出場できないことで「勝利の味は全く違うか、味気ないものになるだろう」とも語り、ロシアの出場制限でリオ五輪のメダルの価値は落ちると述べた。

 ロシア選手の五輪全面除外を求めた世界反ドーピング機関(WADA)の勧告に反する決定を出したIOCについては「大きな圧力にもかかわらず、五輪運動を分裂させなかった」と評価した。

 壮行会には五輪出場不可となった陸上女子棒高跳びの世界記録保持者、エレーナ・イシンバエワも参加。「潔白な陸上選手が証拠もなしに出場を禁じられた」と選手らを前に涙をこぼしながら話した。