<W杯アジア最終予選:日本2-0UAE>◇B組◇23日◇UAE・アルアイン

 後半25分過ぎ、今野のプレーが光った。イーブンの浮いたボールに対して、頭から突っ込んだ。顔面を蹴られてピッチ上に倒れる。相手の顔面蹴りは容易に想像できたはず。それでも今野は頭から競りにいった。

 このワンプレーが仲間に与える影響は大きい。これまでの日本代表は、終盤に足が止まることがあった。また相手にシュートを打たれる場面で、ボールに背を向け、足だけでシュートコースを消そうとする選手もいた。しかし、この日は最後まで全員が連動し、相手を完璧に封じた。「仲間がここまで体を張っているのに…」。みんながそう思ったはず。

 親善試合は、戦術や技術の差で勝負が決まることが多い。しかし、W杯予選や本大会は、精神的な要素が大きな割合を占める。他の国が力を伸ばしてきているといっても、日本の技術はアジアではトップレベル。今野が加わり、技術だけでなく、メンタル面も含むチーム力が上がったのは間違いない。

 残り4戦、さらにはその先にあるW杯ロシア大会。若手の台頭もある日本代表のチーム力向上に期待は高まる。(日刊スポーツ評論家)