新生なでしこジャパン(FIFAランク7位)が、五輪4連覇を目指す米国(同1位)と3-3で引き分けた。2点先行しながら後半に逆転を許したが、終了間際に途中出場のFW横山久美(22=長野)のゴールで追い付いた。初陣の高倉麻子監督(48)は、代表初招集の2人を先発起用するなど変革への意思を示した。リオデジャネイロ五輪予選敗退から約3カ月。19年W杯フランス大会、20年東京五輪に向け可能性を感じさせる船出となった。

 高倉監督は穏やかな表情を浮かべて「ぶっつけ本番みたいだったが、短い時間でやりたいことを理解してトライしてくれた」と振り返った。準備期間は現地到着から2日。会場は標高約1600メートルの高地。FW大儀見の退場で後半途中から1人少ない戦いを強いられて一時は逆転されたが、追い付いた。

 出直しの一戦で高倉監督の変革への思いは、平均年齢は24・6歳の先発メンバーに表れた。代表初招集のMF千葉をトップ下、同じく初招集のDF佐々木を左サイドバックに配置した。FW大儀見は左サイドで、岩渕をワントップで起用。「個々の選手の長所を生かし、新しい可能性にもトライした」と説明した。

 思いは選手に伝わっていた。前半序盤の猛攻を耐え、お返しとばかりに前半22分までに2得点。前線から激しいプレスもかけた。高倉監督は「よくやってくれた。新しいなでしこを表現してほしかった」と手応えを感じ取っていた。

 米国に出発前、「結果を考えると恐怖」と心境を明かしていた高倉監督は「ミス絡みの失点が多かったので、勝てたかなという思いもある」と言った。もう「恐怖」と語っていた姿はない。「修正するところはたくさんあるが、2戦目は勝ちに行きたい」。確かな自信を得て、中2日の再戦を見据えた。