【ブラジリア=17日】目には目を、悪童には悪童を!

 日本代表DF長友佑都(26=インテルミラノ)が、イタリア代表FWバロテリ対策として、インテルミラノの同僚で、元イタリア代表FWカッサーノから情報を得ていることを明かした。アドバイスを受けた長友は「イライラさせるのが一番効果的」とニヤリ。屈指のフィジカルで1トップを張るイタリアの暴れ馬阻止に、“元祖悪童”の助言が生きる。

 バロテリ対策を聞かれた長友が、不敵な笑みを浮かべた。間違いなく日本にとって脅威となる1トップ。強靱(きょうじん)な肉体でゴールを狙う迫力はまさに怪物級だ。悪童として名高い点取り屋を抑えることは、日本の最重要課題。16日のメキシコ戦でも決勝点を決めた。だが、長友の頭にはしっかりと対策が描かれていた。

 「チャンスにはバロテリがほとんど絡んでいた。1対1では相当厳しい。彼をイライラさせる作戦で、こっちの流れにしたい。しつこい守備。ガッツリいくことが必要。心理作戦。バロテリの性格はカッサーノから聞いていますので」

 悪童のことは、悪童に聞け。インテルミラノの同僚で、公私ともに仲のいい元イタリア代表FWカッサーノから話は聞いていた。「みなさん(取材陣)もお分かりのような、見ての通りの性格です」。数々のトラブルでピッチ内外を騒がせた元祖悪童カッサーノから導き出した答えは、心理作戦だった。

 長友は今季のミラノダービー(2月24日)でバロテリと直接対決。「テレビで見るより、生の方がフィジカル、スピードは違う」。肌で感じたこと、聞いたことは日本代表の選手たちに伝え、情報を共有。イタリアでの3年で培った情報をチームに還元する。

 自身の役割も理解している。「守備にも意識を置くけど、攻撃ではリスクを冒してチャレンジする」。攻撃では積極的に仕掛ける。マッチアップする右サイドバックDFアバテは2月のダービーでも対戦。その守備をかいくぐり、同点弾をアシストした。「僕も彼のストロングポイントと弱点を知っている。あっちも僕のことを知っている。サイドの攻防が鍵」。短期決戦で繰り広げられる情報戦。すでに戦いは始まっている。【栗田成芳】