崖っぷちにいたG大阪が、4年ぶりの決勝トーナメント(T)進出に王手をかけた。敵地で攻撃陣が爆発し広州富力(中国)に大勝。2連勝でF組2位に浮上し、負ければ1次リーグ敗退の状況からよみがえった。ホームで迎える5月6日最終節で首位城南(韓国)に勝てば、無条件で突破が決まる。

 敵地中国の観衆が静まり返るほどのゴールラッシュだ。所々で土が露出し、つぎはぎだらけの荒れた芝生。そんな悪環境でも、崖っぷちに立たされたG大阪はめげなかった。前半だけで、FWパトリック(27)が2得点1アシストの大活躍だ。後半には代わって入った同じブラジル人のFWリンス(27)が、宇佐美貴史(22)の今大会初得点を生むなど2アシスト。攻撃陣が大爆発。F組最下位で、負けたら敗退決定の危機的状況からよみがえった。

 1次リーグ最終戦は、首位城南をホームに迎える。勝てば無条件で西野体制だった11年以来、4年ぶりの決勝T進出が決まる。広州富力には2月24日の開幕戦でホームで0-2の完敗。前半の全3得点の起点を作り、後半25分には5点目を決めたエース宇佐美は「多くの得点に絡めて良かった。同じ相手に2度も負けるわけにはいかなかった。J1王者として最低限の結果」と胸を張った。

 G大阪の未来を支える宇佐美、阿部らと、2人の助っ人が結束した大勝劇だ。パトリックは移動のバスは常に宇佐美の隣に座り、2人で一緒に写真を撮るほど仲がいい。愛妻の写真をペンダントにして、お守り代わりにしているリンスは「僕もこのチームで結果を出したい。まだパトリックほどは、日本食に慣れていないけどね。でもすしは食べるよ」と笑う。

 今大会は2連敗スタートで、敗退濃厚の状況だった。ようやく復調し、長谷川監督は「まだ突破が決まったわけではない。もう1試合。ホームでしっかり勝ち点を取る」。宇佐美も「次のホームで決勝トーナメントを決める」ときっぱり。城南戦はMF大森が出場停止。油断は大敵だが、ベスト16となる決勝T進出と、その先にある08年以来のアジアの頂点へ。暗闇にいたG大阪に光が差し込んだ。

 ◆G大阪の行方 1次リーグ最終戦の城南に勝てば勝ち点10となり無条件で突破が決まる。勝ち点で並ぶ可能性のあるブリラムとは当該同士の対戦で優位に立っておりG大阪は引き分けの場合でもブリラムが広州富力に引き分け以下なら突破が決定。G大阪が負けても、ブリラムが敗戦なら決勝T進出となる。