「田坂新体制」がスタートを切った。清水は大榎克己前監督(50)の辞任発表から一夜明けた2日、静岡市内で練習を再開。新たに就任した田坂和昭監督代行(43)が3日間のオフ後、初めて練習で指導を開始した。「勝つサッカー」をテーマに掲げ、球際での攻防に特化したメニューを採用。チームの最重要課題でもある守備の再構築を目指し、初日から猛暑に負けない熱血指導を展開した。

 J1残留へ、再始動した清水には熱気が満ちあふれていた。田坂監督代行は午前練習で選手とともにフィジカルトレを消化。うだるような暑さの中、常に声を張り上げて選手らを鼓舞した。12日の湘南戦を見据え「気持ちは1つ。まずは勝つための準備をしていく」と熱血指導を続けた。

 午後練習は「田坂色」を前面に出したメニューを導入した。ウオーミングアップを兼ねたパス回しが終わると、1対1や2対2などの対人プレーを指示。リーグワーストの43失点という守備の再構築とともに、球際の攻防で負けない力強さを植え付ける意図もある。「今のチームにはゴールを守るという熱い意志が必要。そこをたたき込んでいきたい」と気持ちを前面に出すスタイルを掲げた。

 大榎前監督の“思い”も継承する。監督代行就任を打診された際、直接言葉をかけられたといい「やるしかないと思った」と明かす。現役時代は1年間、清水でプレーし、06年から5年間はコーチも務めた。チームに対する思い入れは強く「自分を育ててもらった恩がある。(大榎)克己さんの思いもくんでやりたい」と強い決意をのぞかせた。

 クラブの将来がかかった今季は残り12試合。「エスパルスが勝つサッカーを展開していく」。熱血漢の田坂監督代行が急ピッチでチーム再建を図ろうとしている。【神谷亮磨】