浦和が序盤の猛攻で、一発勝負への苦手意識を払拭(ふっしょく)する。第1ステージ優勝の資格で進出したJリーグチャンピオンシップで、28日の準決勝でG大阪とホームで対戦。ホームで対戦できる利はあるが、一発勝負では近年何度も苦杯をなめている。今回はリーグ終盤戦で試みてきた、キックオフ直後からトップギアで主導権を握る戦い方で、先制点を奪って90分での勝利につなげる。

 26日、大原サッカー場。浦和はいつものように、DF槙野智章(28)らが盛り上げ、厳しくも明るい雰囲気で練習を終えた。MF柏木陽介(27)も「まだまだ、実感もないしね」とリラックスした様子。しかし「不安」という言葉を使う一幕もあった。

 柏木 不安はある。一発勝負に勝てていないから。

 柏木が加入した10年以来、11、13年ナビスコ杯決勝、そして今年のゼロックス杯とタイトルがかかった一発勝負で3戦とも完封負け。天皇杯も良くて準々決勝進出にとどまっている。

 不安を振り払うため、柏木は分析する。「時間がなくなって、攻めに行く展開は避けたい。うちもG大阪も、残り数分で点を取る力はある。でもいつ仕掛けるべきかという、終盤の試合運びの部分で、うちは少し劣っている」。

 終盤ムリをして点を取りに行き、カウンターで失点して敗れる。一発勝負の負けパターンにはまらないため「終盤を待たずに勝負を決められるようにしたい」と強調する。実は“予行演習”も済ませている。リーグ終盤2試合の川崎F、神戸戦は、ともに試合開始とともに猛然とプレスをかけ、敵陣でボールを強奪しては波状攻撃を繰り返した。

 後半バテて苦戦するほどの極端な序盤重視の試合運びは、早く主導権を握りたい一発勝負の舞台も見据えたものだ。柏木は「それがうちのスタイル。それから晴れ舞台を楽しむつもりでやる。特に自分は、そうしないと良さが出ない」と目を光らせた。【塩畑大輔】