藤枝順心(東海1)が、2006年以来9大会ぶり2度目の優勝に王手をかけた。大商学園(大阪・関西1)に3-1で快勝。2大会ぶりの決勝進出を決めた。先制弾で今大会6点目のエースFW児野楓香(3年)は、得点ランク首位に立った。10日に決勝が行われ、神村学園(鹿児島・九州1)と対戦する。

 あの悔しさを1年かけて晴らした。昨年はPK戦の末に準決勝敗退。同じスタジアムで14年大会以来の決勝進出を決めた。

 前半25分、児野がMF肝付萌(3年)のスルーパスを受け、DFを背負いながら左足で先制した。同31分には、DF黒崎優香主将(3年)が右CKを頭で合わせて追加点。だが、前半終了間際に警戒していたセットプレーから失点した。

 1点リードで前半を終えるも、チームの雰囲気は暗かった。昨年の選手権は準決勝で常盤木学園(宮城)と対戦し、PK戦の末に敗退。ハーフタイムに、その苦い記憶がよみがえったが、児野が振り払った。「去年みたいになりたくない。点を取りにいこう!」。

 後半22分、相手GKのクリアミスを拾うと、倒れ込みながら放ったシュートがコロコロとゴールへ。それをGKが取り損ね、オウンゴールとなった。「サッカーの神様って、いるんですね」と児野。昨年大会の準決勝では1点を追う後半ロスタイムに自身の得点で追いつき、PK戦へ。3人目のキッカーを任されたが、外してしまった。ピッチで号泣した試合から1年。今年は得点ランク首位の6ゴールだ。前半6分には接触プレーで負傷中の右ひざを強打。痛みに顔をゆがめながら、立ち上がった。多々良和之監督(51)は「今年はマークされていても、点を取っている。それが成長したところ」と評価する。

 U-17W杯日本代表らを擁した一昨年は2位、昨年は3位だった。そして、児野が「経験が少ないから、全国大会に出られないかも」と不安に感じた今年のチームが、決勝進出を決めた。「最後まで、しっかり引っ張っていきたい」。エースの覚悟を持って高校生活最後の試合に臨む。【保坂恭子】