仙台はアウェーで大宮と対戦し、1-2で敗れた。前半37分にPKから先制を許すが、後半31分にMF三田啓貴(25)の弾丸ミドルで一時同点に追いついた。その後、相手が数的不利に陥ったもののゴールは奪えず、逆に終了間際の後半44分、大宮の速いカウンターから決勝ゴールを許してしまった。3連勝を逃し、不敗記録も5でストップ。6戦ぶりの黒星を喫した。

 痛恨の敗戦だ。一時は追いつき、相手エースFW家長が退場になって、数的有利の状況でも勝ちきれなかった。試合終了間際の後半44分に勝ち越しを許す。試合終了の笛が鳴ると、選手らはがっくり肩を落とした。渡辺晋監督は試合後、会見の席を立つと周囲に居合わせた報道陣を横目に「あー! くそっ」と珍しく荒っぽい言葉を吐き、悔しさに顔をゆがめた。

 直近5戦不敗(4勝1分け)と好調を保ちながら迎えた敵地戦。順位も近いことから、指揮官は試合前ミーティングでは「かぶとの緒を締めよ」と注意を喚起していた。メダル量産で盛り上がるリオ五輪を引き合いに出し「残り数秒でも逆転できたり、強者でも足元をすくわれることがある。いつも以上に気を引き締めていこう」とげきを飛ばした。

 実際、ピッチ上では前半から選手たちが躍動。初先発したMFパブロ・ジオゴも得意のドリブルで相手の脅威となり、初めてサイドバックで先発したMF藤村慶太も失点場面を除けば「カバリング、スライディングなど素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」(渡辺監督)。そして後半31分に三田啓貴の左足がうなりを上げ、弾丸同点ミドルが生まれ、その1分後に家長が退場となる。

 明らかに逆転への道筋が見え始めていた。しかし、相手の完璧なカウンター攻撃にあっさり崩されてしまい、勝ち点を奪えなかった。MF藤村は「相手をスピードに乗せないイメージでやれていたが、自分がついていかないといけない局面でやられてしまった。反省したい」と唇をかんだ。

 DF渡部博文は「防げる失点だった。数的有利になってから相手が嫌がることを徹底し、もっとリスク管理だけ考えなければいけなかった」。時間をかけて築いてきたチーム力が見えた試合だったからこそ、後悔の言葉が先に立つ。この思いは次戦のホーム広島戦で晴らして見せる。【成田光季】