新潟は28日、聖籠町のクラブハウスグラウンドで練習した。MFレオ・シルバ(30)は、雨が降り続くピッチで半袖姿のままトレーニングに励んだ。監督が交代しても、中盤の要でチームに欠かせない存在。「目標は2つ。勝つこと。負けないこと」と10月1日のアウェー磐田戦をにらんだ。

 レオ・シルバが左サイドから、精密機械が放ったような高精度のクロスを上げた。ゴール前に駆け込んできたMF加藤大(25)のヘッドが決まる。ハーフコートより狭いスペースで繰り広げた実戦形式の練習。降りしきる雨が、むき出しの両腕を直接ぬらしても、熱い内面には無関係だった。リーグ終盤の監督交代劇にも全く動じない。「新監督(片渕浩一郎監督=41)は、コーチとして今まで一緒にやってきた。問題はない」。

 しかし、監督交代を契機にチームも、自身にも変革が必要だと考えていた。「アンテナを張りながら集中してプレーしなければならない」と話した。試合は「ポジティブに捉えなければならない」と言う。新潟には、先制されると一気にエネルギーを消失する傾向があるが、レオ・シルバは失点さえ前向きに捉えた。「失点の後は、いいゴールをするチャンス。そう意識してやる」。最後までゲームを捨てない構えだった。

 通算成績は勝ち点27の年間15位。降格圏16位の名古屋が勝ち点1差で肉薄している。「決して簡単ではない厳しい状況」だけに、30歳のベテランはチームを引っ張る姿勢を見せる。出場停止の1試合を除くリーグ全29試合で先発フル出場。中盤の要は、代替の利かないプレーヤーだ。「若い選手を落ち着かせる」ためにもプレーで、声で若手をサポートする意向だ。

 片渕監督の就任初日、27日の練習後だった。レオ・シルバは、主将のMF小林裕紀(27)とともに呼ばれ「俺に力を貸してくれ」と直接、要請された。「次の磐田戦でポジティブな結果(勝利)を出せば、盛り上がっていける」。レオ・シルバは、身を粉にして攻守に顔を出していく決意だった。【涌井幹雄】