◆川崎F MF中村憲剛(36)

 カワサキの36歳は年を重ねるごとに輝きを増している。16年はボランチのほか、2列目でプレーする機会が増え9得点11アシストでリーグMVPに輝いた。

 サッカー担当になったのは13年からだが、その年の担当クラブが磐田だった。ナビスコ杯(現ルヴァン杯)で川崎Fと対戦した際、先発起用されたのが現在の日本代表MF小林祐希(24=ヘーレンフェイン)。試合は川崎Fに完敗。小林は「中村憲剛さんがすごかった。倒れないし球際も強い。日本代表は簡単に入れるもんじゃないと思った」と刺激を受け、翌日から居残りでFK練習に励んでいたことを思い出す。

 15年途中から川崎Fの担当になり、中村のプレーを間近で見て、他選手との違いが歴然と分かった。巧みにポジションを変えて相手の守備をかわし、柔らかく、スピードがあり、かつ局面を打開するパスをひょうひょうと出す。チームメートが「背中にも目がついているのかと思う」と驚く視野、パスコースをつくる緻密な計算…。どれをとっても高水準だからこそ、MVPに輝いたのだろう。

 12年途中から風間八宏監督の指導を受け、再び「蹴る止める」の基本技術に向き合った。中村は「30歳が下り坂だと思っていたけど、プロでもうまくなる。今後のサッカー人生でも大きい」と話す。年齢を重ねると「下り坂」と見られがちだが、この人は別だろう。「サッカーは目と頭でやる」と、年々上がる経験値と戦術眼でレベルアップしている。毎年の目標は「中村史上最高」。今年は、昨年達成できなかった「2桁得点2桁アシスト」で、さらに輝きを増すと確信している。【岩田千代巳】