今季からJリーグと10年総額2100億円超の巨額の放送権契約を結んだ英パフォーム社が提供するスポーツの配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」。一部で「黒船」ともいわれ、Jリーグに大きな変革をもたらしつつある。そのDAZNは都内にオフィスを構え、J1、J2、J3の全試合を生放送も含め提供している。その本丸に5日、日刊スポーツなどが潜入した。

DAZNのオフィス入り口
DAZNのオフィス入り口

 都内のきれいなビルの1フロアから、Jリーグが発信されている。制作ブースは2部屋。ここでは24時間態勢で、DAZNが配信しているJリーグはじめ、さまざまなスポーツがたくさんの画面に映っていた。「日本とドイツとイギリス、世界に3カ所の放送拠点があります」と説明があった。

DAZNの制作ブース
DAZNの制作ブース

 隣に中継するスタジオブースが計12室。最新の設備が整えられているといい、ブンデスリーガなど海外のゲームに日本語解説をつけるなど、日本向けにこちらも24時間体制で稼働しているという。意外にコンパクト。

DAZNのスタジオブース
DAZNのスタジオブース

 従来のテレビ放送と違い、話題のインターネット回線による音楽や動画の配信サービスを意味する「OTT(Over The Top)」。社内に設置されているのは、従来のテレビ画面ではなく、ほとんどがパソコンのディスプレーだった。

DAZNのオフィスの風景
DAZNのオフィスの風景

 今季のJリーグが開幕した2月末から配信がスタート。当初は配信トラブルもあり、別の意味でも注目されたが、ようやく軌道に乗ったようだ。2日からはJリーグの複数の試合を同時に、注目シーンのみを集めて厳選し生放送する番組「Jリーグ・ゾーン」もスタート。生放送が2試合以上ある場合に利用できるマルチ画面の番組。画面の右、上下で2試合が流れ、左の大部分を使い、残る試合からFKやPKなど動きがあった試合が映る。

 簡単にいうと、DAZNがザッピングをしてくれる感じ。チョイスする側は大変。最大で4×4の16試合を観戦しながら、動きのあったシーンをピックアップするのは手作業。担当者は若い女性だった。好みのクラブや選手で偏るのでは? という質問には「全部のクラブが好きです」と満点回答。安心して画面を見ていればOKだ。

DAZNの「Jリーグ・ゾーン」制作風景
DAZNの「Jリーグ・ゾーン」制作風景

 潜入の目的はDAZNを解剖すること。ただ、やっぱりどうしても言いたくなる。「ダ・ゾーンに潜入してきたんだ、ぞーん」と。笑えないオチは置いといて、サポーターをこれまで以上にわかせるJリーグであってほしいと思う。【八反誠】