Jリーグは9日、4日のJ1浦和レッズ-鹿島アントラーズ戦(埼玉)で侮辱的な発言をした浦和DF森脇良太(31)に2試合の出場停止処分を科すと発表した。14日のアルビレックス新潟戦(デンカS)と20日の清水エスパルス戦(埼玉)が対象。4日の試合後、鹿島MF小笠原満男が同僚のブラジル人のレオ・シルバに対し、森脇が「くさい」と発言したと主張。両者は7日にJリーグの規律委員会から事情聴取を受けていた。

 Jリーグが浦和森脇に出場停止2試合の処分を下した。試合中の小競り合いの中で発した言葉が「侮辱」に当たると判断。Jリーグの競技部門を統括するフットボール本部の黒田卓志本部長は「『くさい』という発言があったことは両者(森脇と小笠原)の見解が一致した。侮辱的な発言ということで、2試合の出場停止となった」と説明した。

 試合後に鹿島小笠原が、同僚のレオ・シルバに対し森脇から「くさい」という発言があったと主張したことが騒動の発端となった。「言葉の暴力。差別ととられてもおかしくない」と訴えた。一方、森脇は言い合いの中でつばが顔にかかったため、小笠原に「くさい」と言ったことは認めたが、レオ・シルバを侮辱したものではないと主張した。浦和は5日に映像で見返し、複数の選手に聞き取り調査を行ったが、試合直後に森脇が説明した以上の発言はなかったとした。言い分は食い違っていた。

 Jリーグは、試合を管轄するマッチコミッショナーから、森脇が不適切な発言をした疑いがあるとの報告を受け、7日に規律委員会を開いて2人を呼び出して事情聴取。両者の説明に基づいて森脇から「くさい」という発言があり、それが「侮辱」に当たると結論付けた。ただ、映像や主審の説明からは「くさい」発言の有無、小笠原が指摘したレオ・シルバに向けた発言だったのかということは確認できなかったという。あくまで「侮辱」として騒動に区切りをつけた形だ。

 試合中の審判や相手選手に対する「侮辱」は警告や退場の対象となる。しかし、今回は森脇に警告などは与えられていなかった。過去、審判に対する「侮辱」による出場停止処分はあっても、選手への「侮辱」による出場停止はほとんど例がない。極めて異例の決着となった。

 ◆Jリーグが公表した森脇の処分理由(一部抜粋) 日本サッカー協会の「競技および競技会における懲罰基準」に照らして審議した結果、同選手の行為は、「他の競技者、その他の競技に立ち会っている人々に対する侮辱」に相当すると判断、2試合の出場停止処分とする。