<ナビスコ杯:東京3-1清水>◇13日◇予選リーグB組◇駒沢

 J1清水の2年目FW大前元紀(19)が、待望のプロ入り初ゴールをマークした。ナビスコ杯予選最終節の東京戦で、後半23分から出場。同38分にDF市川大祐(29)の右からのクロスに、ダイビングヘッドで合わせた。試合は1-3で敗れてグループ2位が確定。準々決勝では浦和(7月15日=埼玉、同29日=アウスタ)と対戦する。

 「未完の大器」大前のゴールカウントが、ついに動きだした。後半23分、公式戦217日ぶりにピッチに登場すると、同38分。DF市川からの低空クロスに、体を投げ出すダイビングヘッドで、ゴールネットに突き刺した。「ニアが空いていた。うまくスペースに入れた」と、プロ入り初ゴールを振り返った。

 流通経大柏のエースとして2得点を決め、全国制覇した一昨年の高校選手権決勝(○4-0藤枝東)以来の「公式戦ゴール」だった。この日の会場の駒沢は、決勝前の前日練習の会場として使用した。「あのころとは全然雰囲気が変わったし、あまり意識はしなかったですけどね」。懐かしの舞台で、本来のプレーを取り戻した。高校サッカー界のスーパースターとして入団直後は、注目を集めたがここまで公式戦の出場はわずか6試合。「腐らないようにと、いつも思ってやっていた」と、サテライトでもモチベーションを保ち続けてきた。

 長谷川監督は「やっぱり持ってるね。短い時間だったけど、よくやってくれた」と評価した。それでも大前は「結果が出せたということはよかったこと。でも、試合に勝ってない。やっぱり点を取って勝つのが一番いい」と満足はない。高校時代には、3つの全国大会のすべてで得点王を獲得した「天性の点取り屋」が、ようやくプロの世界でも第1歩を踏み出した。【為田聡史】