J2仙台は31日、天皇杯3回戦(NACK5)でJ1大宮と対戦する。今季初のJ1との公式戦に、FW中島裕希(25)とFW中原貴之(24)の先発2トップで挑戦。過去に「中中」コンビが先発した試合で達成できなかったアベックゴールを、J1との真剣勝負で実現させる。

 三度目の正直だ。今季は7月12日のリーグ富山戦、同19日の鳥栖戦で同時先発も、ゴールを割れなかった2人。以来「中中」が先発ラインアップに並ぶことはなかったが、今は勢いが違う。25日のリーグ札幌戦で今季10点目の大台に乗せた中原と、リーグ最近5戦3発と復調気配の中島。「J1相手でも、脅威を与えられると思う」と、手倉森監督から現段階のベストコンビと判断された。

 「中中」の先発は過去に16試合(リーグ14戦、天皇杯2戦)あるが、実は同時先発時のアベック弾が1度もない。昨年度の天皇杯では3回戦(初戦)で中島が、4回戦で中原が得点したが、同時に喜べなかった。中島が「アベック弾がないのは知ってる。次こそ決めたい」と言えば、中原も「誰よりも互いの動きを分かってるコンビ。2人で取れれば最高」と応じた。

 2人の先発は、上位相手の戦略でもある。手倉森監督は「敵地で相手はJ1。組織的な守備から試合をつくるためにも、連係しやすい日本人コンビが最適。(中中なら)仙台のパスワークの早さも表現できる」と説明。マルセロ・ソアレスとサーレスが控えており「中中で疲れさせた後、ブラジル人FWの速さを生かす」プランも思い描く。

 リーグ戦で昇格に王手をかけて迎えるJ1との真剣勝負。来季への布石を打つ一戦に「昇格するだけじゃなく、J1との差を痛感しなければ成長しない」と中原。「いつか必ず」と、そろい踏みを約束している同期生コンビが、アドレナリンの分泌必至の一戦で、壁を打ち破る。【木下淳】