<J2:札幌3-1富山>◇第15節◇30日◇札幌厚別

 チーム最年少が厚別開幕戦勝利を演出した。コンサドーレ札幌は富山に勝利した。札幌U-18の三上陽輔が、クラブ史上最年少記録を塗り替える18歳と25日で初出場。1-1で迎えた後半5分、ヘディングでMF宮沢裕樹(20)の決勝ゴールを演出した。ユース選手の活躍もあり、今季初の逆転勝利。ホームでは3月28日の岡山戦以来、約2カ月ぶりの白星となった。

 高校生がプロ顔負けの身体能力で勝利をおぜん立てした。1-1で迎えた後半5分、左CKを相手DFがクリア。高々と舞い上がったボールに、三上は恐れず頭から飛び込んだ。「競った時に(宮沢)裕樹くんが見えた」。跳び上がった体は相手DFより体半分、飛び出していた。必死で突き出した頭から放たれたパスは、ゴール前の宮沢にわたり、決勝弾となった。

 今季課題だったセットプレーからの初得点だった。石崎監督は「三上は攻守ともによく頑張ってくれた。セットプレーから得点できたことも良かった」と評価。決勝点のサポートだけでなく、前半14分、後半7分にも自らミドルシュートを放つなど奮闘した。前半42分には左サイドに流れた三上の動きで中央のスペースが空き、後ろから上がったDF西嶋がミドルシュート。逆転勝利につながる同点弾にも隠れて貢献した。

 「緊張していて歓声もまったく聞こえなかった」とはにかむ18歳だが、下準備はしっかりできていた。09年6月に初めて練習に参加した際、MFクライトンとの競り合いではじき飛ばされた。「これがプロの当たりだと感じた」。それからは石栗フィジカルコーチから教えられた体幹強化メニューを、ユースの練習後に1人黙々と続け、プロ仕様の体へ進化を図ってきた。

 好プレー連発に三上大勝強化部長(38)も「こういう状況が続いて(三上が)トップ昇格してくれるようになってくれれば」と期待した。昨季の古田は通信制の高校に通いながら年間通してトップ帯同したが、三上は札幌の公立校に通いながら断続的に練習参加するスタイルを継続していく方針。来週までは学校行事と調整しながら帯同し、その後は夏休みなど休日を生かし可能な限りトップ参戦させていく。

 「どうなるか心配してたけど、結果につながってホッとしています」。18歳になったばかりの青年が、突然訪れた87分間のチャンスを確実にものにした。厚別に吹いたフレッシュな風が、札幌浮上へのきっかけになるはずだ。【永野高輔】