磐田の日本代表DF駒野友一(28)に6月30日、クラブ内外から励ましの声が相次いだ。W杯決勝トーナメント1回戦パラグアイ戦。延長戦でも決着がつかず、迎えたPK戦で3番手キッカーを務めた駒野がバーに直撃させ敗退した。8強進出を逃した責任を感じ、ピッチ上で涙をこぼす姿に、親友のFW前田遼一(28)や磐田サポーターだけでなく、他クラブのサポーターからも声が届いた。

 駒野の動き1つ1つが、前田の琴線に触れていた。この日の午後練習、午前中のフィジカルトレで重いはずの足を、最後まで止めることはなかった。変わらぬスタンスだが、同い年のプレーに刺激を受けないはずがない。バーに直撃したPK戦について、前田は「あそこで蹴れることが、まずすごいこと」と、120分の激闘に加え、大舞台で世界中の視線を受け想像を絶するプレッシャーの中でプレーした親友をたたえた。

 主将のMF那須とともに同い年で、チームを支える中心選手として互いに信頼を寄せ合う。長く濃密な戦いを終えた駒野に対し「特に何か言うつもりはない。『おかえり』と言うくらい」と、いつも通り出迎える。柳下監督も「いいプレーをしていた。肌で感じたものをチームに戻ってプレーで見せてくれれば」と期待した。

 周囲の注目はおさまりそうにない。通常1日に3通ほどしか届かないクラブへのメールも、この日だけで20件以上届いた。そのすべてが駒野に対する励ましのメッセージだった。中には他クラブのサポーターから「最後まで縦横無尽に走る姿に感動しました。あなたのサッカー人生はまだまだこれから。サックスブルーのユニホームを着て、リーグ再開後に活躍することを期待しております」。駒野の姿はクラブの枠を超えて心に響いていた。

 駒野は1日に帰国し、1週間の休養に入る。クラブでは全メールをプリントして本人に手渡しする予定だ。悲劇のヒーローの傷を癒やす、何よりの良薬になるはずだ。【栗田成芳】