鹿島MF中田浩二(31)が、応援するプロ野球阪神との史上初アベック優勝へ向け「東西共闘」を誓った。8月に売り出し中の大型高卒新人、阪神秋山拓巳投手(19)を激励したところ、その後完封を含む3連勝。中田本人も11日仙台戦で決勝弾を決め、チームに5週間ぶりのリーグ戦白星をもたらした。これまで鹿島のリーグVと、阪神のセ・リーグ優勝が同じ年に達成されたことはないが、ジンクス打破へ向けともに追撃態勢を整える。

 偶然の出会いが、史上初の「アベックV」につながるかもしれない。中田は「こないだ阪神の秋山くんに会ったよ。彼が初めて先発して、巨人に負けた直後だった」と明かした。幼少時から阪神ファン。もともと交友のある江草投手らに、秋山を紹介されたのだ。

 8月21日に球団史上初めて、高卒新人ながら巨人戦に先発した秋山は、好投も逆転負けしていた。人目をはばからず号泣したルーキーだが、W杯や欧州でのプレーも経験した中田との出会いには大喜び。一緒に携帯電話の写真に納まるなど、意気投合していた。

 「その後3連勝したよね。彼はすごいよ」と中田。激励を受けた秋山は、8月28日ヤクルト戦でプロ初勝利を挙げると、一気に勢いに乗った。9月12日にはヤクルト相手にプロ初完封勝利も。しかも3勝すべて、チームの連敗をストップする貴重な白星だった。

 「アッキャマン」の健闘を、わが事のように喜ぶ中田も負けてはいない。秋山の完封とほぼ時を同じくする11日仙台戦では、決勝弾と堅い守りで1-0完封勝利の立役者に。こちらも8月未勝利の長いトンネルからチームを救い出す、値千金の活躍をみせた。

 救世主2人の働きで、鹿島は3位、阪神は2位で優勝を狙う位置につけた。これまで両チームのアベック優勝はないが、中田は「(ジンクスを)打ち破りたいよね」ときっぱり。「こっちは名古屋と勝ち点7差あるから、すべて勝つつもりでやるしかない。阪神も中日に走られているし」と東西からの名古屋勢挟撃の必要性を強調した。

 「ナビスコ杯で敗退した直後だったから、仙台に勝てたのは大きい。これからは内容よりも勝ち点3を積み重ねて、名古屋にプレッシャーをかけることが大事になる」。東西そろって劇的な逆転優勝を-。中田の脳裏で、すでに劇的な筋書きは固まっている。【塩畑大輔】