<スルガ銀行チャンピオンシップ:柏2-1ラヌス>◇6日◇柏

 ナビスコ杯王者の柏が、南米カップ「コパ・スダメリカーナ」王者のラヌス(アルゼンチン)に競り勝ち、初の国際タイトルを手にした。日本代表への復帰が期待されるFW工藤壮人(24)は後半43分、ペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得し、FWレアンドロ(29)の決勝ゴールを呼び込んだ。日本勢は10年から5年連続でのタイトル獲得となった。

 笑顔でカップを掲げた数十分後、工藤の表情から笑みは消えていた。ゴールという結果を求めていただけに「1試合を通して、チャンスはあれだけだった。ゴールを狙っていたので、悔しいですね」。唯一のチャンスは後半32分。DF橋本からの左クロスにダイビングヘッドでゴールを狙った。だが、アルゼンチン代表経験のあるGKマルチェシンの好セーブに阻まれた。

 後半43分に倒されて決勝点を“アシスト”したが、中途半端なプレーが続いたことは許せなかった。「チームとして勝てたことは素晴らしいですけど、内容は正直、物足りない」。どこまでも自分に厳しかった。

 11年12月、クラブW杯準決勝でブラジルの若きエース、ネイマールのいるサントスに1-3で敗れた。初めての南米チームとの対戦。「夢のような大会だった」と言う一方で、あと1歩届かぬ球際の差を痛感した。その3年前から、チームは国内タイトルを毎年のように獲得。ACLで4強入りを果たすなど、経験値は上がった。「相手の体格には対応できるようになった。課題は山積みですけど、気持ちでもフィジカル的にも、余裕を持って臨めたことはよかった」と収穫も口にする。

 先月初旬、兄拓美さん(27)の家を訪ねた。W杯ブラジル大会への出場がかなわず、ツイッターで「正直、悔しい」と本音を漏らしていたが、そんな無念の思いはもう胸にしまい込み、気丈に振る舞った。

 新生日本代表「アギレ・ジャパン」始動はもうすぐ。「まずはクラブで結果を残すこと」と繰り返す。目標のタイトルは1つ達成したが、「内容を見つめ直せる人が何人いるか。Jリーグに切り替えます」。課題を1つずつ乗り越えた先に、工藤には新たな世界が見えてくる。【桑原亮】