<ACL:G大阪3-1済州>◇1次リーグE組◇20日◇万博

 G大阪が背水から立ち直った。負ければ1次リーグ敗退が決まる可能性があった済州(韓国)戦でFWアドリアーノ(29)がホーム3戦連発となる2得点を挙げ勝利。勝ち点6で並ぶ済州を直接対決での得失点差で上回るため決勝トーナメントへ進出する2位へ浮上した。G大阪自慢の攻撃陣が爆発した。

 頼れるパパは、頼もしいエースでもあった。アドリアーノがG大阪の危機を救った。前半26分に中央付近でボールをもらうと、果敢にドリブルで突進。左足シュートは相手DFの股間を抜け、右ポストに当たってゴールへ吸い込まれた。後半3分も加速したドリブルからうまく右へ切り返し、冷静にゴール右隅へ2点目。スタンドへ向けて、大きく両手を広げて喜んだ。

 アドリアーノ

 正直、あんまり覚えていないんだ。でも、ゴールは2つ決めようと思っていた。こうなったらホームゲームには家族を絶対来させるよ。

 これで3月1日のACLメルボルン戦、同5日のJ開幕C大阪戦に続き、ホーム万博で3戦連発だ。スタンドでは「幸運をもたらしてくれる」という“福の神”の長男ニコラスくん(2)が、デボラ夫人(27)の腕の中でニッコリ。夫人は「私とニコラスに1点ずつ取る、と約束していたの。本当に優しいパパなんです」と誇らしげだった。

 C大阪でプレーした昨年は「単身赴任」だったが、今年3月2日には妻子が来日した。しかし、日本の生活に慣れる間もなく東日本大震災が発生。母国ブラジルから心配する電話が鳴りやまなかったが、夫人はきっぱり言ったという。「こういう状況だけど、私は日本から離れるつもりはない。安心してガンバのためにプレーして」。家族へ恩返しの2ゴールでもあった。

 西野監督が「FWらしいFW」と獲得を望んだストライカーが、1次リーグ敗退が決まる可能性があった一戦で、まさに「助っ人」の活躍を見せた。後半28分には済州のカウンターとロングボール対策で、MF加地とMF武井を投入。終了間際に、その武井が見事なミドルを決めるなど、指揮官の采配もズバリだった。

 西野監督の「サイドに流れるな」という指示を守り、1点目はMF宇佐美に反応。2点目はMF遠藤の縦パスに抜け出した。G大阪自慢の中盤に呼応し、確実に決めた。「次しっかりと勝って、1位通過することが大事」とアドリアーノ。がけっぷちから一転、首位天津泰達(中国)と勝ち点1差の2位に浮上。3年ぶりのアジア王者奪回へ、何よりも「超攻撃」が戻ってきたことが大きい。【近間康隆】