もっと攻撃的な戦術で、日本サッカー界を盛り上げよう。浦和のペトロビッチ監督(45)は1日、現役時代だった10年前と比べ、守備を重視する傾向にあるJクラブの戦い方を嘆いた。4月29日仙台戦では、引いて守る相手にてこずり0-1で敗戦。次節の横浜戦(3日、埼玉スタジアム)でも、堅い守備を崩すことが最大の課題だと分析。「ビッグクラブにふさわしいサッカーがある」と横浜を挑発しつつ、Jリーグ全体の底上げのために、持論を熱く訴えた。

 日本サッカー界の成長のために、攻撃的な戦術の重要性を熱く訴えた。浦和は1日、さいたま市内のグラウンドで横浜戦に向けて非公開練習を行った。ボールを保持し、パスをつなぐ攻撃的なスタイルを続けている浦和にとって、守りを固めるチームは難敵。

 それでもペトロビッチ監督は「攻撃的なサッカーで選手の能力は上がる。何試合かカウンターでやられることもあるだろうが、それで何年後かに活躍する選手が育つ」と言う。中長期的なビジョンに立ち、目先の負けないサッカーにはみじんも心は動かない。

 10年前のJリーグを知るからこその発言だ。「当時はどのチームも攻撃的だった。だからこそ、今の日本サッカーの成長がある。守備的に戦うことは、日本サッカーにとって残念なこと」とまで踏み込んだ。

 課題は、引いた相手を、いかに崩すかだ。前節の仙台戦では、自陣でしっかり守り、早いプレスからカウンターを仕掛けるサッカーに翻弄(ほんろう)されて敗れた。DF永田は「守る相手に対して、攻撃の種類が少ない。もっと増やしていかないと」と、危機感を持っていた。

 次の横浜戦も、日本代表センターバックコンビのDF中沢、DF栗原を中心とした堅い守備をいかに崩せるかがポイントになる。守備を重視し無失点に抑えれば、最低限の勝ち点は手に入る。しかし監督は「自分の意見で、他のチームに口を挟むことではないが、負けないサッカーをしていては選手は成長できない」と、憂いた。

 だから浦和は攻撃的なサッカーを貫く。魅力的なサッカーの応酬が、未来につながると信じて。【保坂恭子】