<J2:山形1-0北九州>◇第39節◇21日◇NDスタ
長いトンネルを抜け出した。山形は北九州を退け、8試合ぶりの白星を挙げた。前半7分、FW林陵平(26)のパスを、右サイドハーフ(SH)で出場した中島裕希(28)が直接左足でシュート。今季9点目となるゴールでチームに活力を与えた。6位横浜FC、7位東京Vも勝利し、順位は8位のまま。残り3戦に逆転昇格を懸ける。
勝利の美酒に酔いしれた。奥野僚右監督(43)は試合後のインタビューを終えると、裏で待機していたFW山崎と抱き合って喜び、マイクでサポーターに感謝を伝えている最中の中島に握手を求めた。「これほど感情を揺さぶられた試合はない。情熱を燃やせば燃やすほど得られるものは大きい」。7戦勝ちなしの泥沼を脱出し、本音をもらした。
ヒーローも全身で歓喜を表現した。前半7分、林が相手に囲まれながらもマイナス方向へのパス。詰めてきた右SHの中島は「トラップしたら寄せられる」と利き足ではない左足を即座に振り抜いた。ボールは相手に当たり、GK佐藤の横をするり。「みんなの強い気持ちが乗り移った」と仲間の思いを最高の形に変えた。ゴールを見届け2度3度と激しくガッツポーズ。いつもの右手人さし指を天に突き出すパフォーマンスとは違い、感情を爆発させた。
全員でつかんだ白星。山崎は両足をつりながらも90分間相手を追い回し、終了の瞬間にはその場に倒れ込んだ。「監督は勝てていない時でも選手にポジティブな言葉をかけてくれた。絶対勝ちたかった」。指揮官の苦悩を間近で感じ、主将として意地をみせた。途中出場のFW万代も敵陣深くで相手にスライディングしてクリアを阻止。「このチームで守備をするのは大前提」と黒子に徹した。
ピッチ上だけではない。ベンチにはメンバー入りできなかった選手のユニホームが並んだ。「交代選手、スタッフ、サポーターの方、みんなの支えがあって勝てた」。指揮官の言葉が全てを物語っていた。
昇格可能圏内の6位千葉とは勝ち点2差。厳しい状況に変わりはないが、流れが変わりそうな1勝を挙げた。【湯浅知彦】



