<J1:G大阪1-1広島>◇第30節◇27日◇万博

 G大阪が、待ったなしの状況に追い込まれた。首位広島が相手とはいえ、本拠地万博で1-1の痛恨の引き分け。残り4戦でJ1残留圏の15位大宮と勝ち点3差の崖っぷちに立たされた。日本代表MF遠藤保仁(32)が先制弾を決めるなど奮闘したが、勝利には結びつかなかった。残り4戦中3戦がアウェー戦。J1残留へ「西の名門」が、正念場を迎えた。

 本来なら、優勝争いをする相手から「貴重な勝ち点1」を得たと言ってもいいのかもしれない。だが、崖っぷちのG大阪にとって「勝ち点2」の取りこぼしは今後、致命傷になりかねない。サポーター席から響くブーイングが、厳しい現状を現わしていた。後半11分にゴール前で小刻みなフェイントから貴重な先制弾を挙げた遠藤は、両軍最多4本のシュートを放った。それでも、白星が遠かった。

 遠藤

 うまく(DFを)かわして、流れの中で冷静に決めることができた。残り全部勝って、勝ち点12を目指すしかない。(順位は)終わってから気にする。やる前から気にしても仕方がない。少しでも(残留圏)との差が縮まればいい。

 残り4戦-。15位大宮とは勝ち点3差だ。G大阪は、うち3戦がアウェー戦。しかも元日本代表DF加地が、古傷の左膝内側靱帯(じんたい)を再び痛めて途中交代。今日28日にも精密検査を受けるが、離脱の可能性が高まった。サッカーの神様は、どこまで試練を与えるのか。左足首捻挫のためこの日は途中出場になったMF明神も「残り試合は全部勝つ。1つも取りこぼしができないのは、分かっていますから」と悲壮感を漂わせた。

 これだけ厳しい残留争いは、近年は経験がない。チームにとっても、まだ37歳の松波監督にとっても、失敗が許されない試合が続く。指揮官は「苦しい戦いは予想していた。(広島)対策はできていたが、勝ちきれなかった」と唇をかんだ。あくまでも残留は他力だ。だからこそ勝つしかない。西の名門が、いよいよ窮地に立たされた。【益子浩一】