札幌が来季からグアム合宿を取りやめることが29日、決定した。08年から今季まで5シーズン連続、1次合宿地として利用してきたが、経費削減のため、熊本合宿1回に短縮することが確定した。来季トップチーム人件費は、今季の半分以下となる2億5000万円前後まで圧縮される方向。合宿地が1カ所になるのはクラブ初で、合宿経費を切り詰め、人件費に上積みしていく。

 苦渋の決断となった。矢萩竹美社長(62)は「グアム中止を前提として予算を編成している。その分を強化費に上積みできるよう考えている」と明かした。この日、札幌市内のクラブ事務所で行われた定例取締役会で決定事項として報告。今季まで5シーズン、04年も含め6度、行ってきた常夏の合宿地から撤退する。

 始動時期も1月中旬から下旬へと約1週間、遅らせる。1月いっぱいは札幌市内で調整。2月から開幕まで、熊本1カ所での合宿を予定している。キャンプ期間が、前回J2だった11年と比較しても2週間程度短くなる。チームづくりにも影響しかねないが、同社長は「2月から動くクラブもある。ベストとは言えないが、そういうところも手をつけなければ強化費が捻出できない」と説明した。

 また、同取締役会で興行収入の大幅な予算割れも報告された。今季ホーム20試合(ナビスコ杯含む)の観客動員は24日の最終横浜戦を終え22万2192人止まり。目標の26万人に3万7808人届かず、10年度以来2期ぶりの単年度赤字が確実となった。同社長は「興行収入のマイナス分がそのまま決算に響く可能性が高い」と話した。

 ◆札幌の合宿地

 創設初年度の96年はオーストラリアと横浜で行った。98年には唯一メキシコ、パナマの中米合宿(3次合宿で宮崎)を実施。00~03年はオーストラリアから国内合宿(静岡、宮崎、鹿児島など)という流れになり、04年に初めてグアム合宿を敢行。05~07年までは海外合宿をやめ、宮崎、鹿児島、沖縄など国内合宿のみとなった。08~12年まで5シーズンはグアムで1次、熊本で2次合宿となった。札幌の合宿場所が1カ所になったケースは、過去17シーズンで1度もない。