<J1:新潟0-2浦和>◇第4節◇30日◇東北電ス

 浦和のJ1通算1000得点は、苦しみの先にあった。2-0の結果だけを見れば完勝でも、ボールを支配された。前半6分に幸先よくDF槙野が先制したが、リズムに乗り切れない。歯がゆい展開で迎えた後半ロスタイムに、メモリアルゴールは突然訪れた。

 相手DFラインの裏に出来たスペースをMFマルシオ・リシャルデス(31)は見逃さなかった。完璧なトラップからあっさりと流し込んだ。「重要な瞬間にチームにいられたのは光栄だし誇り。みんなが働いたおかげだし、全員におめでとうと言いたい」とわずかに笑みを浮かべた。

 大きな2点目は、ひときわ小さな足から生まれた。マルシオのスパイクは25センチ。プロ仕様としては最小サイズだ。そのスパイクに、今季から日本とブラジルの国旗を縫い込んだ。「強化部の人と相談した上で、つけることにした。両方の国の気持ちを持っていようと思って」。優しい気性で得点後の喜びも控えめだった。07~10年在籍した新潟相手に、歓喜を露骨に表現できなかった。「素晴らしい4年間を過ごさせてもらった。彼らを尊敬して感謝している」と、相手を思いやった。

 ペトロビッチ監督は「難しい試合だった」と振り返った。だが厳しい内容でも勝ち点3を奪取できたことが、今季の浦和の強さを物語る。指揮官は「4試合終えて勝ち点10は素晴らしいが、あと30試合ある」。マルシオも「これからが長い道のり」と言う。4月3日のACL、そして同6日のリーグ戦へすぐに気持ちを切り替えた。【高橋悟史】

 ◆クラブJ1通算1000得点

 浦和が新潟戦の後半47分にMFマルシオ・リシャルデスの得点で達成。鹿島、磐田、G大阪、名古屋、横浜、清水に続いて7チーム目。第1号ゴールはMF望月聡が93年5月22日の横浜F戦で記録。最多得点者はFW福田正博で91点。