<J1:清水2-0大宮>◇第7節◇12日◇アイスタ

 ホームアイスタで背番号「10」が輝いた。清水はFW大前元紀(24)の1得点“1アシスト”の活躍で大宮を下し、公式戦3試合連続の完封で、リーグ戦でも今季初の連勝を飾った。後半3分にクロスでFWノバコビッチ(34)の先制点を演出すると、同ロスタイムには自ら追加点を挙げ勝負を決めた。第3節C大阪戦以来となる待望の今季2点目で、駆けつけたサポーターに今季リーグ戦でのホーム初勝利を届けた。

 サポーターの大声援にエース大前が結果で応えた。この日の主役は、公式戦5戦連続ゴール中のFW長沢駿(25)ではなく、清水の「新10番」だった。

 まずは、両チーム無得点で迎えた後半3分。DF吉田豊(24)が中盤でこぼれ球を拾うと、右サイドでボールを要求。スルーパスから抜けだし、FWノバコビッチの先制点を呼び込んだ。同ロスタイムに迎えたカウンターのチャンスでは、ハーフライン付近から一気にゴール前へ。途中出場のMF村田和哉(25)の右クロスをワントラップから右足一閃(いっせん)。豪快にネットを揺らし、快勝劇を完結させた。「点を取りたかった。きつかったけど、信じて走って良かった」。スタジアムには「ゲンキコール」が響き渡った。

 今季からエースナンバーを託された。今まで以上に結果を求められる立場になった。ここまでの得点は第3節C大阪戦で挙げたPKの1点だけ。それでも「(周囲から)見られるのは結果だけど、調子が悪かったわけじゃない。(点は)取れると思っていた」と、頭は冷静だった。

 待望の今季2点目からさかのぼること38分。大前は、長沢のパスから迎えたGKとの1対1を外していた。しかし、「ポジション取りが、やたらニアサイドに寄っていた。だから、ゴールシーンはファーを狙えば入ると思っていた。狙い通りだった」。“弱点”を見抜いていたことが、ダメ押し点の布石となった。

 これでチームは今季初の連勝。加えて公式戦3試合連続の完封と上昇気流をつかみ始めた。大前は「ここで取れたことは個人的にも大きい。これでもっと自信をもってプレーできるようになる。まだ第7節が終わっただけ、上を見ずに1試合1試合やるだけ」と言った。

 長沢の覚醒に続き、守備陣の復調。そして、エースの勢い-。チームに何よりも頼もしいピースが加わった。【前田和哉】