昨季、欧州チャンピオンズリーグ(CL)で史上初の連覇を果たした“白い巨人”レアル・マドリードが空前のスランプに陥っている。

 スペインリーグでは現在、首位バルセロナに勝ち点17差をつけられての4位。ここ7試合を見ると3勝2分け2敗と、これまでのレアルであれば考えられない戦いぶりだ。

 昨年12月23日にホームで宿敵バルセロナに0-3で完敗。今年1月13日のホーム・ビリャレアル戦も0-1で敗れ、今月3日のアウェー・レバンテ戦では後半44分の失点で2-2のドローに持ち込まれてしまった。

 14日(日本時間15日)には、ブラジル代表FWネイマール擁するパリサンジェルマンとの欧州CL決勝トーナメント1回戦・第1戦が控えるが、ここでも劣勢が予想されている。

 一番問題なのは、欧州各メディアがレアル不振の原因を分析しようと試みるものの、いまひとつ理由がはっきりしないことだ。

 英BBC電子版は「レアルの崩壊は誰も予期していなかったし、誰もその理由を明確には説明できない。ケガ人が続出してもいないし、クラブ内部での不和もない。戦術的な弱点も見当たらない。ただ個人的にも、チームとしてもまずいプレーが続いている」と記している。

 スペイン・マルカ紙のパブロ・ブロトンス記者はBBCの取材に対し「基本的には同じ選手たちなのに、昨季とプレーの質がまるで違っている。我々が大きな損失とは思っていなかったペペ(ベシクタシュ)ハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)モラタ(チェルシー)らの放出が予想以上に大きかったのかもしれない。彼らがそろえば完璧なチームになるだろうから」と話している。

 BBCはそのような状況下でジダン監督が1月の移籍市場で活発に動かなかったことが奇妙に映るという。さらにベンゼマやロナルドら不調の選手を使い続け、他の選手の士気を高めることにも成功していないため、クラブ首脳からの重圧が重くのしかかっていると指摘する。

 レバンテ戦に引き分けた後、スペインの著名なジャーナリスト、フリオ・マルドナード氏は自身のツイッターに「レアル・マドリードはCLでパリサンジェルマンに勝つために、いやその可能性を得るために、思い切ったチーム改革が必要」と記した。

 これまでレアルのペレス会長は、チームが不調に陥れば簡単に指揮官のクビを切ってきた。ただジダン監督のようなクラブのレジェンドで、ファンにも愛されている人物を解任することは、いかにペレス会長であっても容易ではない。

 とはいえ、このまま不調が続けば、ジダン監督の方からシーズン後に退任を申し出る可能性はある。

 BBCによるとジダン監督の後任にはドイツ代表レーウ監督、コンテ監督(チェルシー)モウリーニョ監督(マンチェスター・ユナイテッド)らの名前が挙がるが、ペレス会長はポチェッティーノ監督(トットナム)とクロップ監督(リバプール)がお気に入りで、中でもポチェッティーノ監督が第1候補だという。

 ジダン監督がこのような苦境の中で、どのようにチームを好転させていくのか。はたまたクラブを去ることになるのか。注目される。 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)