<クラブW杯:マンチェスターU(イングランド)5-3G大阪>◇18日◇横浜◇準決勝

 MFクリスティアーノ・ロナウド(23)率いるマンチェスターU(イングランド)が、大会史上最多の5ゴールを奪い、世界一の破壊力を見せつけた。トヨタ

 クラブW杯準決勝でG大阪に5-3と完勝。08年バロンドール(世界最優秀選手)受賞のC・ロナウドが随所で華麗な技を披露。打点の高いヘディングでゴールも決めた。FWウェイン・ルーニー(23)も後半途中出場からわずか6分で2ゴール。両エースの活躍で勢いづいた「赤い悪魔」は、21日の決勝でLDUキト(エクアドル)と対戦する。

 C・ロナウドが異次元のプレーを披露した。1点リードで迎えた前半ロスタイム、右CKのボールに高い身体能力と世界の駆け引きを見せつけた。1度前へ出ると見せかけ、左手でマークにきた明神を押しやる。すぐさま後方へ下がり、フリーの状態で打点の高いヘディングシュートを放った。ウォーッ!

 という地鳴りのような大歓声がスタジアムに響く。両手を大きく広げ、スタンドの声に気持ちよさそうに応えた。

 まさに「ロナウド劇場」だった。ダンスを踊るかのように、次々とトリッキーなフェイントを繰り出した。前半16分にはゴール前で相手3選手を振り切り、左足シュート。さらに同27分には右サイドを縦にドリブルで突進し、高速クライフターンで左へ切り返し、素早くシュート。相手ブロックに阻まれたが、これで得たCKからチームは先制。立ち上がりのチームの緊張感を破ったのは、間違いなくC・ロナウドだった。

 試合終了のホイッスルと同時に、魅了されたサポーターから大きな拍手が送られた。「日本のファンの声援に驚いた。本当にハッピーだ。アットホームな気分でプレーできた。まるで母国(ポルトガル)にいるようだった」。昨夏の親善試合で浦和と対戦(2-2)。新シーズン第1号を奪い、その後の欧州最多42ゴール(公式戦)につなげた。ゲンのいい日本での得点に「幸運な場所かもしれないね」と笑みをこぼした。

 ピッチで強烈な存在感をみせた男に対し、外野の声も一気に騒々しくなった。スペイン紙エルムンドが「ロナウド、来夏Rマドリードへ移籍」と報じ、クラブ幹部トラポーテ氏の「既に最高の選手を確保した。それはロナウドしかいないだろう」という談話を掲載。同時にレアルのカルデロン会長が、極秘裏に日本入りしたという情報も入った。

 試合会見でファーガソン監督が「売りに出していない。何も言う必要はない」と断言すれば、C・ロナウド本人も「何も答えたくはない」と質問をシャットアウトした。甘いマスクに抜群のテクニック。個人として世界最高の地位をつかんだ23歳の若者は、今度はチームとして世界最高のタイトルをつかみにかかる。【佐藤隆志】