ACミランの日本代表FW本田圭佑(28)が名門ACミランという強大な組織の中でもがいている。2月28日のキエボ戦に後半から途中出場。クロスバー直撃の惜しいシュートは放ったが引き分けた。これまで通り低迷するミラン改革への強い思いを明かした上で「自分1人ではチームを変えることはできない」と、歯がゆさもにじませた。

 格下と引き分けた試合後、本田が口にした。「見てもらったら分かるように(昨年)1月に自分が移籍して来て、やはり自分1人ではチームを変えることはできない」と。ポジティブで強気な男が「できない」というのは珍しい。決して白旗を上げたわけではない。低迷ミラン改革への思いはぶれていないが、1年以上たっても一向にうまくいかない。もがいているさまが浮き彫りになるような物言い。素直な告白、分析は次のように続いた。

 「結局(サッカーは)11人でやるスポーツなんで。11人の総合力をいかに高めるか。そのクオリティーというかビジョンが、お互い違い過ぎるというのが今のミランの課題であり、もしかしたらビジョンを同じように保つためにイタリア人選手をより多くピッチに送りこんでいるのかもしれない。でも、それでも結局ダメなわけなんで、なかなか難しい。やはり変えないといけないと思う。(インザギ)監督も、もっとやりたいようにやればいいのではないか。少なくともイタリアのチームで一番政治的なクラブでしょ。それが良くも悪くも、だと思うし、監督のプレッシャーというのは計り知れないし難しいんでしょうけれど」

 本田がいくら主張し唱えても変わらず、指揮官も去就が騒がれ続け落ち着かない。絶対的な権力でシステムにまで口を出すとされるベルルスコーニ名誉会長もいる。先発落ちが続く本田の戦いは、いろんな面で続いている。【1日=波平千種通信員】