日本代表に復帰したマインツFW武藤嘉紀(24)が、9月1日から始まるW杯アジア最終予選に向けて景気づけの一発を放った。故障した右膝のリハビリを経て、今年2月以来の公式戦となる今季初戦のドルトムント戦に後半36分から出場。終了間際に頭でゴールを決めた。

 後半36分からワントップの位置に入った武藤は、チーム全体が劣勢ということもあり、ほとんどの時間で「消えていた」。だが、ストライカーの嗅覚で一瞬のチャンスを逃さなかった。2点を追うロスタイムにFWデブラシスの右クロスに合わせてゴール前へ走り込み、見事にヘディングゴールを決めた。

 試合はそのまま1-2で敗れた。それでも右膝を痛めた今年2月6日ハノーバー戦以来となる公式戦で、自らの存在感を示す復活のゴール。9月のW杯アジア最終予選に臨む日本代表にも選出された点取り屋は、代表での定位置奪取も見据えて「苦手としている相手DFに、動き直して(点を)取れたのは自信につながる」と喜んだ。

 地道なリハビリを続けて戻った今季、7月28日に欧州リーグ3連覇中で清武の所属する強豪セビリアとの練習試合で後半の45分間をプレー。緩急をつけた走りや急な方向転換などを織り交ぜながら動き、「もう全然、けがの影響はない。思った以上に自分の調子はいい」と手応えをつかんでいた。

 今季開幕にあたり「去年も最初はレギュラーではなかった。点を取ることを続けていければ、おのずと優先順位は変わってくる」と話していた。その意気込みを日本代表にも持ち込んで暴れるつもりだ。

<武藤ケガから復帰まで>

 ▽2月6日 先発したハノーバー戦で途中交代し、足を引きずりながら引き揚げる。翌7日、右膝外側側副靱帯(じんたい)損傷で「数週間の離脱が予想される」とクラブが発表。

 ▽3月30日 練習合流2日目の練習中に膝をひねって右膝の外側靱帯を損傷した。4月9日のウォルフスブルク戦で戦列復帰の可能性が高まっていたが、翌31日には「今季中の復帰が絶望的になった」とクラブが発表。

 ▽4月6日 帰国。都内の病院で診察を受け、8日までに手術を回避して保存療法でリハビリを行う方針を決めた。

 ▽同25日 マネジメント事務所が第1子となる長女の誕生を発表。

 ▽6月9、12日 9日に東京時代の同僚フィテッセDF太田と約2時間の合同自主トレ。12日にはスピード強化のため、陸上200メートルハードルのアジア記録保持者、秋本真吾トレーナーの指導を受けた。

 ▽同20日 ドイツに向け日本を出発。ブンデスリーガ2年目に向け「岡崎選手の(ブンデス日本人記録)15点を超えられたらいい。15は不可能な数字じゃない」と意気込む。

 ▽7月12日 遠征先の米国で行われた米3部スイッチバックスとの練習試合で2月6日ハノーバー戦以来の実戦復帰。前半のみ出場して無得点。