プレーバック日刊スポーツ! 過去の2月14日付紙面を振り返ります。2011年の1面(東京版)はフェイエノールトFW宮市亮が欧州主要リーグでの日本人史上最年少得点でした。

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<オランダリーグ:フェイエノールト2-1ヘラクレス>◇12日(日本時間13日)◇ロッテルダム

 オランダ1部フェイエノールトのFW宮市亮(18=中京大中京)がヘラクレス戦にフル出場し、欧州主要リーグでの日本人史上最年少得点となるプロ初ゴールを決めた。セリエA・カターニアのFW森本貴幸(22)が持っていた18歳8カ月21日を抜く18歳2カ月でのゴール。初ホームゲームで豪快弾を決め、チームに2カ月ぶりの勝利をもたらした。

 “持ってる18歳”が本拠地デカイプでのデビュー戦で、地元ファンにあいさつ代わりの1発を決めた。前半18分。右サイドからFWビセスワルのクロスをペナルティーエリア内で胸トラップすると、宮市は相手DFをかわし、左足で豪快に蹴り込む先制弾。右手人さし指を突き出し、チームメートと抱擁を交わすと、スタンディングオベーションでゴールをたたえるスタンドに、何度も両手を上げて応えた。

 宮市 本当にいい形でボールが来た。ディフェンスがつめてきたので、これからシュートが入るなっていう感覚だった。いい形で打てたと思う。ほんとに自分のゴールでチームが勝ててうれしい。

 宮市はこの日、4-3-3の左FWとして出場。左サイドからドリブルで駆け上がり、右足でミドルシュートを放つなど、ゴール以外でも何度も攻撃に絡み、その度にスタンドを沸かせた。試合終盤には守備にも貢献。昨年12月12日のエクセルシオール戦以来、5試合ぶりの白星をチームにもたらした。

 チーム加入後は「空手キッズ」の愛称で呼ばれていたが、3日ほど前にチームメートのビセスワルから新しいニックネームを付けられた。ロナウジーニョに「亮」の名前を引っ掛けた、その名も「リオジーニョ」。宮市は早くも地元ファンの間に浸透しつつある愛称に「リオになるように頑張ります」と、謙遜したが、かつて2度バロンドールに輝いた元ブラジル代表ばりのゴールで存在を強烈に印象づけた。

 デカイプの天然芝も味方した。宮市はチーム加入前、同じオランダでプレーするVVVフェンロのDF吉田から「天然芝の方がお前のスピードが生きる」とアドバイスを受けていた。アーセナルからのレンタル移籍先は、本拠地が天然芝のフェイエノールトか、人工芝のエクセルシオールといわれていたが、宮市は幸運を引き寄せてフェイエノールト入り。この日も持ち味のスピードを存分に発揮してみせた。

 ベーン監督も「亮がいることがとてもうれしい」と手放しで宮市の初ゴールを褒めたたえた。試合後は、4万7000人の観客に勝利を報告し「テレビとか漫画で見ていた世界。本当に言葉にならないくらいうれしい」と、無邪気に笑った宮市。憧れだった世界の舞台でまた1つ、日本サッカー界の新たな歴史を刻んだ。

 ◆宮市亮(みやいち・りょう)1992年(平4)12月14日、名古屋市生まれ。08年にJリーグ8クラブの下部組織、全国強豪校の誘いもあったが中京大中京に進学。100メートル10秒84という陸上選手並みの俊足を生かしたドリブル突破が持ち味で愛称は「和製C・ロナルド」。183センチ、70キロ。

※記録と表記は当時のもの