【バルセロナ(スペイン)=木下淳、山本孔一通信員】エイバルMF乾貴士(28)がバルセロナ相手の日本人初ゴールを決めた。スペインリーグの2016-2017シーズン最終節に左MFで先発すると、前半7分に先制点。右サイドバックのカパが上げたクロスが反対サイドで走り込んだ乾に届くと、ダイレクトで左足を合わせ、クロスバーの下をたたきゴールに飛び込むシュートを決めた。乾の今季2点目に聖地カンプ・ノウは沈黙。元日本代表が世界的クラブから歴史的ゴールを奪ってみせた。

 これで終わらない。後半16分にも乾がまた決めた。右サイドから流れてきたボールに反応し、左足でボレーシュート。アウト回転がかかったボールがゴールマウスを強襲し、再びクロスバーの下をたたいてネットを揺らした。勝たなければ逆転優勝がないバルセロナを相手に、敵地で2点リード。駆け寄った仲間にもみくちゃにされ、最後はお辞儀ポーズで喜びを示した。

 試合後は「決めた瞬間は(アウェーで)歓声がないので、本当に入ったのか分からなかった。1点目は、すねに当たった。まぐれです(笑い)。2点目はしっかり打てましたが、コースは偶然でした。(好きなバルセロナを相手に決め)一生、忘れられない」と謙虚に振り返った。

 しかし、これでバルセロナに火がついた。乾の2点目の2分後、FWネイマールのシュートの右ポストはね返りに戻ったDFが当たり、オウンゴール。さらに29分、左CKからFWスアレスが右足を伸ばして同点に追いつき、その後すぐのプレーでネイマールがドリブル突破して倒され、PKを獲得。30分にFWメッシが左足で決めて、一気に逆転した。メッシは25分にPKを失敗(GKがセーブ)していただけに、汚名返上の一撃でチームに勝ち越し点をもたらしても笑顔はなかった。

 そのメッシは後半ロスタイムに2人をかわす華麗なドリブルから右足でゴールを奪い、今度は右拳を握ってガッツポーズした。このまま4-2でバルセロナが逆転勝利。勝ち点3差で追っていた首位Rマドリードがマラガに2-0で勝ったため、逆転優勝は逃した。

 エイバルは乾の衝撃の2発で善戦したものの、悔しい逆転負け。勝ち点54の10位で今季を終えた。「先発も去年に比べて増えましたし、いいシーズンだったと思います。ただ、その中で(今季3ゴールと)結果が出なかったことは、来年、改善していきたいと思います」と総括した。