<欧州CL:インテル1-0CSKAモスクワ>◇3月31日◇決勝トーナメント準々決勝第1戦◇イタリア・ミラノ

 【ミラノ(イタリア)1日=益子浩一、波平千種通信員】CSKAモスクワの日本代表MF本田圭佑(23)が、名門インテルを本気にさせた。日本人で初めて出場した準々決勝の第1戦は、無得点に終わり惜敗。それでもセリエAで首位の強豪に徹底マークを強い、「中田英寿の再来」とまで言わせた。第2戦(4月6日)は本拠地モスクワ。逆転での欧州4強へ、期待を抱かせた。

 あの強豪インテルが、1人の日本人にこれだけ本気になったことがあっただろうか。各国代表をそろえるスター軍団が、そして敵地ミラノの7万人近い大観衆が、本田の存在を認めた。前半24分。ゴール前へ攻め込んだ本田の顔面へ、DFマテラッツィが頭から激突した。06年W杯ドイツ大会決勝でジダンから頭突きを食らったカテナチオの国・イタリアの守備の象徴が、本気になった証しだった。

 徹底マークにあった。インテル側は試合のカギを握る要注意人物に、本田を指名していた。守備的MFのセルビア代表スタンコビッチは証言する。

 「我々は初めから(本田を)警戒していた。ホンダはナカタの後に、ずいぶんと出てくることのなかった日本人の優秀な選手だから」。

 00-01年にセリエA・ローマでリーグ制覇を成し遂げた元日本代表MF中田英寿氏を引き合いに出して実力を認めた。W杯1次リーグで日本と対戦するオランダ代表の司令塔スナイデルは、本田に関する質問には「答えられない」と拒否。それだけ意識していた。

 一方で、世界との差を痛感したのも確かだ。

 本田

 ボクが通用したかどうかは論外です。相手の脅威になれなかった。経験の差、経験からくる技術の差…。すべてに差があった。足の痛みより、負けた痛みの方が大きい。

 左足首痛を抱えながら、日本人として初めて欧州CL準々決勝の舞台に立った。歴史に名を刻みはしたが、得点どころかシュート1本放つことすらできなかった。前半13分に得たFKは、相手の意表を突くために同僚イグナシェビッチに譲った。攻撃は本田を経由してつくられ、後半10分にFWエトーからボールを奪うなど守備でも奮闘。それでも3月16日セビリア戦に続くゴールを決められなかった悔しさだけが胸に残った。

 本田

 次はモスクワでやれる。(第1戦は)勝負する上で、差があった。次はそうは言えない。自分たちのサッカーを取り戻さなければいけない。まだ望みは消えたわけではない。

 ロシアではテロが頻発し、この日も喪章を巻いて出場した。本拠地で臨む第2戦に勝てば、欧州4強の夢はつながる。本田の挑戦はまだ、終わらない。

 [2010年4月2日9時42分

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