<ベルギーリーグ:シントトロイデン1-0リールス>◇7月31日◇シントトロイデン

 【シントトロイデン(ベルギー)=エリーヌ・スウェーブルス通信員】川崎Fからベルギー1部リールスに移籍した日本代表GK川島永嗣(27)が、シントトロイデン戦(アウェー)で開幕先発デビューした。前半に守備陣の乱れから1失点し敗れたが、パンチングでピンチをしのぐなど好セーブを連発。監督や同僚から高い評価を受けた。

 前半25分から波状攻撃を受けた。背番号1を背負った川島の欧州での戦いが火ぶたを切った。右からのミドルシュートを両手パンチングで逃れる。CKからのヘディングシュートも枠外にはじき出した。サポーターから大歓声が沸き起こった。この時点で味方のクロス0本に対し相手は10本。1部復帰初戦で浮足立ち、劣勢に立ったチームを、好セーブ連発で救った。

 同27分、CKのこぼれ球から、フリーの相手に頭で決められた。しかし、後半も果敢な飛び出しを見せるなど奮闘した。0-1で敗れたが、ピンチの連続を最少失点に抑えた。欧州でも十分に戦力になることを証明した。「ピンチがあった中で1失点。取られた後も慌てずに耐えることができたと思う。でも、結果がすべて。その辺は満足していない」。川島の言葉には手応えと悔しさが入り交じっていた。

 W杯では4試合2失点。好セーブを連発して16強進出に大きく貢献した。そして「日本のGKがヨーロッパで成功できることを証明したい」と欧州への移籍を決断した。目標は欧州チャンピオンズリーグ出場。ベルギーリーグはそのスタート地点。そのために開幕スタメンのチャンスを生かしたかった。

 この1試合で周囲も川島の実力を認めた。DFヘルメルトは「失点は相手をフリーにしたディフェンスの問題。彼のコーチングは素早く的確だった」と話した。アントネス監督も次戦先発の確約こそしなかったが「いいプレーだった。チームにうまく溶け込んでいる」と評価は高かった。クヨビッチとの正GK争いでも1歩リードした。

 欧州の生活にも慣れた。レストランの食事も「自分が食べたいものを選んで食べています」と健康管理にもぬかりない。ベルギーはフライドポテトの発祥地。マヨネーズと唐辛子ペーストなどを使った有名な「サムライソース」も試した。「おいしいですよね。毎日は食べられないけど、試合後の楽しみにします」と異国の文化も積極的に受け入れている。

 ベルギーリーグの印象について「すきがあればシュートを打ってくるし、仕掛けてくる」とあらためて気を引き締めた。今季1部昇格チームで苦戦が予想されるが、「今、立っているピッチで結果を出さなきゃいけない。1試合1試合チャレンジしていきたい」。日本の守護神が大きなな夢へ第1歩を踏み出した。

 [2010年8月2日9時3分

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