<欧州CL:Bミュンヘン1-1(PK3-4)チェルシー>◇19日(日本時間20日)◇決勝◇ミュンヘン

 チェルシー(イングランド)が、敵地アリアンツ・アリーナでBミュンヘン(ドイツ)を下し、初優勝を飾った。0-1の後半43分にコートジボワール代表FWディディエ・ドログバ(34)が同点ゴール。延長で勝負がつかず、PK戦ではチェコ代表GKペトル・チェフ(30)が好セーブを連発して勝利に貢献した。チェルシーはロンドンを本拠地とするクラブとしてもCL初制覇となった。また準決勝でチェルシーに敗れたバルセロナ(スペイン)のメッシが、史上最多14得点で4季連続の大会得点王に輝いた。

 ドログバが、マンチェスターUに敗れた4年前の決勝戦の悪夢を振り払った。1点を追う後半43分。MFマタの右CKに走り込み強烈なヘディングで同点弾。1-1で突入したPK戦でも、5人目として落ち着いてゴール左へ蹴りこんだ。

 チェルシーはこれまで欧州CLではPK戦で勝ったことがなく、対するBミュンヘンは無敗。そんなデータも完全に吹き飛ばした。「まるでおとぎ話のような結末だよ。俺たちは最後の最後まで諦めなかった。この勝利をこれまでチームに関わったすべての人にささげたい」。ドログバはアウェーのミュンヘンに詰めかけたゴール裏のサポーターの前で万歳を繰り返し、表彰台ではビッグイヤー(優勝杯)をアブラモビッチ・オーナーへプレゼントした。

 チェルシーイレブンにとって、諦めてもおかしくない状況の連続だった。今年2月の決勝トーナメント1回戦第1戦で、いきなりナポリ(イタリア)に1-3とたたきのめされた。オーナーが1500万ユーロ(約15億円)ともいわれる違約金をポルト(ポルトガル)に支払ってまで獲得したビラスボアス前監督と、テリー、ランパードらベテランたちとの確執が表面化。チームは空中分解寸前となった。

 その後、前監督が解任され、コーチだったディマテオ監督が暫定的に就任。だが優勝まで、困難の連続だった。準決勝で連覇を狙うバルセロナに何とか勝利するも、中立地で行われるはずの決勝の相手は、勝ち上がった地元のBミュンヘン。約6万人の相手サポーターを敵に回し、主力のテリー、ラミレスらは出場停止。それでも徹底的に守ってからのカウンターという泥臭い戦術で勝利にこだわった。

 チェルシーは欧州代表として12月のクラブW杯で来日する。ただドログバは今季限りで現契約が切れ、有名監督を好むアブラモビッチ・オーナーが、ディマテオ監督を続投させるかも現時点では不明。ランパードはこの日の試合後、「ドログバがいなければ、俺たちはここにいなかった。ぜひ残留してほしい」と熱望。次の目標、世界一へ向け、今オフのチーム編成がより重要になってくる。

 ◆チェルシー

 1905年創立。本拠地はロンドン・スタンフォードブリッジ。イングランドの1部リーグで優勝4度。03年にロシアの大富豪アブラモビッチ氏が買収し、世界屈指の資金力を持つクラブに変身。モウリーニョ監督(現Rマドリード)の指導で04-05年シーズン、50季ぶりにリーグを制し、翌シーズンも連覇した。欧州CLは07-08年シーズンにグラント監督のもと初めて決勝に進んだが、マンチェスターUにPK戦で敗れた。